トヨタ自動車東日本 宮城大衡工場で生産開始/シエンタ、7年ぶり全面改良/車室内空間の快適性向上/
トヨタ自動車は、魅力的な新型車を相次ぎ投入している。直近8月には小型ミニバン「シエンタ」を全面改良して発売した。小型車となる「5ナンバー」サイズを維持したまま、車室内空間の快適性をより向上させた。走行性能も高めた。全面改良は7年ぶりで、3代目のモデルになる。
■実用性
新型シエンタは、1列目と2列目のシートの間を最大1メートルにして、従来のモデルに比べ8センチ広げた。2列目に快適に座れるようにして、日常の買い物品を足元に置けるようにするなど実用性も高めている。さらに室内の高さは従来に比べ2センチ高くして、乗り降りしやすくしている。
室内では、消臭やはっ水加工を施したファブリックシート表皮を採用している。小さな子どもが食べ物や飲み物をこぼしても拭き取りやすくしている。
走行性も改善している。新しい設計手法「TNGA」のプラットフォーム(車台)を採用して、上質な乗り心地や優れた操縦安定性を実現している。最小の回転半径は5メートルと、狭い道や駐車場などでも円滑な取り回しを可能にしている。
メーカー希望小売価格は195万円から。月8300台の販売を見込んでいる。生産工場は、トヨタ自動車東日本の宮城大衡工場(宮城県)。
■東北の未来へ
9月初旬には、トヨタ自動車東日本の宮城大衡工場で新型シエンタのラインオフ式を開催した。宮内一公社長があいさつしたほか、トヨタ自動車の豊田章男社長がビデオメッセージを寄せ、東北での自動車産業の発展や車の立ち上げにかけた思いなどを語った。
宮内社長はあいさつで、東日本大震災からの復興支援を目指して2012年に同社が設立したことについて触れ、「新型シエンタを筆頭に、コンパクトカーのものづくりを通じて東北のみなさんと東北の未来をつくりたい」と力を込めた。
豊田社長は、新型シエンタの立ち上げにおいて、量産準備段階でのリードタイム短縮や品質向上といったさまざまな挑戦に取り組んでくれたことを紹介した。
また20年末の旧東富士工場(静岡県裾野市)の閉鎖に伴い東北に移った従業員らをねぎらい、「東北に溶け込んでこれからも活躍してほしい」とメッセージを送った。
新型シエンタは、ファミリー向けに車内の快適性や運転しやすさなどを向上したほか、運転や駐車時の支援システムを取り入れている。式典ではトヨタ自動車東日本の女性社員3人がそれぞれの視点から車両の魅力を紹介した。