創意に生きる~マイウェイ~中部経営者たちの物語

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第1話
「『創業家出身』は何か違う」
タキヒヨー相談役 滝 茂夫 氏

創業274年

タキヒヨーは1751(宝暦元年)年、初代兵右衛門が古知野(現江南市)で、京呉服商「絹屋」を開業したことを嚆矢(こうし)とする。ことしは創業274年目で、名古屋の老舗では、1669年創業の岡谷鋼機に次ぐ社歴を誇っている。1800年代には、分家筋で瀧定(現瀧定名古屋、スタイレム瀧定大阪)を設立したほか、名古屋銀行(後に三菱UFJ銀行の前身行の一つ・東海銀行)、東海倉庫(現東陽倉庫)など相次ぎ創業。1900年代に入っても、蒲郡市で料理旅館「常磐館」を開業したほか、瀧実業学校(現滝学園)を設立するなど業容を拡大した。

私は第6代瀧兵右衛門の4人の息子の末子。長兄は第7代・滝富夫だ。滝富夫がタキヒヨーの社長時代に経営危機を招き、事実上銀行の管理下に入った。富夫をはじめ次男、三男もタキヒヨーを去った。経営危機がなければ、四男の私にトップの座が回ってくることはなかったと思う。

実際、私は名古屋に良い思い出がなかった。子どものころに父と訪れたナゴヤ球場(名古屋市中川区)では、汚い名古屋弁のやじに辟易(へきえき)した。高校時代から、自由で何となく格好いい東京に憧れていた。就職先も東京の会社だったが、東海銀行の元常務でタキヒヨーを再建した、伊藤是介社長(当時)に請われ、タキヒヨーに転職。その後、伊藤さんから後継社長に指名された。

社外からみれば、私は創業家である滝家出身の社長と思われるが、私は4男で「創業家出身」といわれると、その度に「俺は鬼子だよ」と感じる。

実は、中部経済新聞社から「マイウェイ」の執筆を頼まれるのは2度目だ。10数年前に一度依頼されたが、断っている。実は当時、何年かしたら某経済紙の「私の履歴書」なんてどうよ!と超高望みしていたが、高すぎる壁に激突粉砕。今回のお話をありがたくお受けすることにした。

名古屋の旧家に生まれ、数奇な出来事や出会いに恵まれた私の物語が皆さまのお役に立てるのかどうか、正直言ってわからないが、今後2カ月間面白く思っていただければ、うれしい限りだ。

<プロフィル>たき・しげお 慶応義塾大学法学部卒。1974年モビリア入社。86年タキヒヨー入社。94年社長就任。2011年会長に就任。22年から相談役。中部経済同友会特別幹事をはじめ多くの公職を務めている。名古屋市出身。74歳。

著者企業紹介

タキヒヨー株式会社
本社:愛知県名古屋市

1751(宝暦元年)年、初代兵右衛門が古知野(現江南市)で京呉服店「絹屋」を開業しました。創業274年目の名古屋を代表する老舗企業です。1967年には、タキヒヨーに社名を変更しました。1994年名古屋証券取引所第二部に上場。2005年には、東京証券取引所市場第一部、名証一部にそれぞれ上場しました。現在はアパレル、テキスタイルの卸売業を中心に事業展開しています。ニューヨークやミラノに支店を持っています。
2025年2月期の売上高は606億円。従業員数は523人(25年2月末時点)。

タキヒヨー株式会社

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