創意に生きる~マイウェイ~中部経営者たちの物語

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第1話
「お客さまが笑顔をくれる最高の職業につけて幸運」
シニアソムリエ 日本ソムリエ協会理事 島 幸子 氏

20代のころからワインが大好きになり、いつのまにか旅行先が南の島からフランスのブドウ畑に変わった。いつもかなり背伸びをして、パリやニューヨークの有名ワインショップでワインを買い込んでいた。あの頃は、お給料の大半をワインと飛行機代にかけていたように思う。

日常生活の中で過去を振り返ることはほとんどないが、10年ほど前に本を出版した際は自力で人生をさかのぼり、原稿を書いた。今回は中部経済新聞さんの「マイウェイ」の執筆が、再び人生を思い出させてくれる。忘れていた出来事や、お世話になった方々の顔が頭の中に浮かんでくる。

有限会社ヘルプを29歳で開業し、5人の仲間で始めた会社は35年目に入った。みんなでお金を出し合って500万円で有限会社をスタートしたのは1990年9月5日。山あり谷ありの35年間、よくぞつぶれずに続いていると決算の度に思う。

初期のメンバーは私と大城マチ子の2人だが、会社を辞めたメンバーも忘れた頃に「サミュゼ・アン・トゥラヴァイヨン」(名古屋市東区)に顔を出してくれている。

OBの皆さんはワインバー、ワインスクール、レストラン、ワインショップ、オリーブオイル製造販売などそれぞれに活躍中で、私が困った時には助けてくれる頼もしい存在。一緒に働いたことがご縁で、素晴らしい仲間に恵まれた。

私たちにお仕事を下さるお客さま方のおかげで、現在も講演、コンサルタント、ワインバー経営を継続中だ。丸八会ワイン会のソムリエ、AJU自立の家後援会理事、一般社団法人日本ソムリエ協会理事も担当している。

20代のころ、お客さまに60歳までの人生の目標を立てなさいと言われた。漠然と考えたのは50歳まで現役のソムリエ、その先はワインジャーナリストと決めお客さまに伝えると、「たまに君がどんなふうに仕事しているか見に来るからね」とおっしゃった。

その後も数年おきにワインを抜かせていただき、昨年は現在お住まいのシンガポールからご来店。40年以上前の約束を果たす、「侍」のようなお客さまだ。

ソムリエの仕事は一生懸命に取り組むと、お客さまが喜んでくださり笑顔をくれる。こんなに最高の職業につけて幸運だが、偶然が重なって会社を始め、ソムリエになったので、自分の人生だが不思議な気持ちだ。お客さまがワインを抜かせてくださる間は、ソムリエを続けていく。今後ともよろしくお願いいたします。

〈プロフィル〉
島 幸子(しま ゆきこ)1960年、長野県生まれの名古屋育ち。ソムリエの資格は91年に取得。95年には、中部地方唯一の女性シニアソムリエとなる。96年にワインとフレンチのお店「サミュゼ・アン・トゥラヴァイヨン」(名古屋市東区)を開業。2014年から日本ソムリエ協会理事などを務める。23年度の愛知県優秀技能者表彰をソムリエとして初めて受章。64歳。

著者店舗紹介

サミュゼ・アン・トゥラヴァイヨン
名古屋市東区東桜1の6の3

島氏がオーナーソムリエを務めるワインとフレンチの店で、1996年オープン。世界のワインやフレンチのほか、各国のチーズを取りそろえている。店名はフランス語で、楽しみながら仕事をするという意味。飲料全般の専門的な知識と、長年培われた正確なテイスティング力、料理とのペアリング、卓越したサービス技術が評判で、訪れる多くの来店者を魅了している。

サミュゼ・アン・トゥラヴァイヨン

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