創意に生きる~マイウェイ~中部経営者たちの物語

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第1話
「持続的な郷土づくりへ」
デリカスイト代表取締役FOUNDER 堀 冨士夫 氏

■850年の歴史と身土不二

私が高校を卒業し、大学へ通いながらつくだ煮の卸販売を始めたのは1961(昭和36)年のことであり、今年は創業60周年にあたる。グループ入りした老舗は、それよりも遥かに長い歴史を歩んできた。

ウオフクの創業は1895(明治28)年なので126年、水了軒は1888(明治21)年なので133年、吉照庵のひら井は1873(明治6)年なので148年、蔦茂は1913(大正2)年なので108年、槌谷は1755(宝暦5)年なので266年の歳月を積み重ねてきた。

すべてを合計すれば850年近くなり、それぞれの歴史と伝統を受け継ぎながら、すぐれた料理や菓子づくりの技を磨き上げてきた。

こうしたグループ各社の強みをさらにブラッシュアップしていくのみならず、コラボレーションによって、突然変異的な革新の芽を生み出すことが、これからのデリカスイトグループの進みべき道である。

この歩みは、コロナウイルスによって停滞を余儀なくされている。収束を見通すことはまだできないが、収束してもコロナ以前の世界には戻らないと見るべきではないだろうか。パンデミックは、盤石と見られていたグローバリズムの弱点を露呈してしまったからだ。

これからどのような世の中になり、どのような新しい動きが出てくるのか、予想するのはむつかしいが、時代の変わり目で大切なのは原点へ立ち返って考えてみることだ。

デリカスイトグループの21世紀ビジョンでは、食に対する姿勢として「食の安全」とともに「身土不二」を掲げている。

身と土は二つにあらず。すなわち、身と土は切り離せないという意味の仏教用語である。人の体と人が暮らす土地は一体で、切っても切れない関係にあり、その土地で採れた物を食べて暮らすのが一番という教えであり、デリカスイトグループの基本精神ともいうべきものだ。

大垣とその周辺部の豊かな自然とおいしい水に育まれた食のみならず、生活や文化を大切にするとともに、地域連携によって「郷土力」を高め、地域内への再投資で地域内循環を促すことによって、持続的な郷土づくりに貢献していくことを目指している。

〈プロフィル〉
堀 冨士夫(ほり ふじお) 惣菜事業、デリカスイトの創業者。1961(昭和36)年につくだ煮卸を始め、1970(昭和45)年から惣菜店の展開に着手。多様な形態の店舗開発に挑戦し、多くの食品の老舗をグループに迎え入れる。2008(平成8)年には社長を交代し、FOUNDER(創業者)を名乗る。岐阜経済大学(現岐阜協立大学)大学院と京都大学大学院で研究生として地域経済学を研究し、地域の活性化に取り組むとともに、「郷土力を活かす市街地再生の街づくり」を著わす。79歳。大垣市出身。

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