東海3県「BA・5対策強化宣言」 事業継続へ知恵絞る バス 休日ダイヤ運行 百貨店 時短営業も
愛知、岐阜、三重の東海3県は5日、新型コロナ対策として政府が新設した「BA・5対策強化宣言」を発令した。期間はいずれも21日まで。
欠勤が増加
名鉄バス(本社名古屋市)は8日から当面の間、豊田営業所管内の一般路線全線と豊田市基幹バスについて、平日ダイヤを休日ダイヤに切り替えて運行する。運行に必要な乗務員の確保が困難になったためだ。
タクシー大手のつばめ自動車(本社名古屋市)では、事業継続が困難なほどではないが、天野清美社長は「グループ全体で約2千人の従業員がいるが、感染者・濃厚接触者の欠勤は30人程度だ。ただ、第7波に突入して、今までにないペースで欠勤者が増えている」と危機感を持つ。
営業に影響
百貨店の営業にも一部影響が及んでいる。「連日従業員のコロナ感染者が発生している」と打ち明けるのはジェイアール名古屋タカシマヤの広報担当者。一部売り場やブランド店では要員体制が整わず、時短営業を行っている。名鉄百貨店は「シフト編成が難しい場合、ほかの売り場から人員の応援を行い、対応している」と明かす。
焼き肉店「焼肉きんぐ」など飲食店を全国で約600店舗展開する物語コーポレーション(本社豊橋市)では、東海3県ではないが、従業員の欠勤により時短営業に切り替える店舗が出始めた。担当者は「今はまだ、数店舗でしか影響が出ていない。ただ、今後この流れが拡大する可能性はある」と頭を悩ませている。
ホンダカーズ東海(本社名古屋市)では、現時点では事業継続に陥るほどの感染拡大は起きていない。ただ担当者は「今後は自宅待機となる従業員も増えてくる可能性もある」と警戒する。
業務の効率化
これまでのコロナ禍で試行錯誤してきた業務改革で奮闘している企業もある。
ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋(名古屋市中区)の平均客室稼働率は80%で推移し、担当者は「第6波までと比べマイナス影響はほぼない」と話す。稼働が低かった時期に離職などで人員が減り、現在は運営を効率化。二つのレストランを行き来するなど、同部署内で手薄な場所に人員を配置している。「新しい発見ややりがいがあり、従業員にも好評な措置」と語る。
コロナ感染症の再流行で、マイナスの影響を受けるのは飲食、サービスなど対面型の業種だ。中部財界の幹部は「(飲食などの)客足に影響が出ており、お客さんの数も減り始めているようだ。事業や資金繰りに関する会員企業からの相談など、引き続きしっかりと対応していきたい」と話している。