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[未来を描く・23] 佐々木一郎氏(ブラザー工業社長)に聞く 「産業用領域 伸ばしたい」 自分たちで将来の方向性示す スピード大切にまず挑戦 新たな柱生み出し育てる

未来を描く
「在宅勤務の広がりでSOHO向け需要が再び伸びている」と話す佐々木社長
「在宅勤務の広がりでSOHO向け需要が再び伸びている」と話す佐々木社長

 ブラザー工業(本社名古屋市)は、2030年度に向けたグループの新ビジョンを策定。デジタル化や自動化の加速など事業を取り巻く環境変化が激しさを増す中で、今後の在り方を改めて問い直し、歩むべき方向性を示した。ユニークでオリジナリティーあるものづくりを原動力に成長してきたブラザーグループ。世界40以上の国・地域に持つ生産、販売、サービス、開発のネットワークを生かしてどのような価値を顧客に、社会に、提供していくのか。佐々木一郎社長に思いを聞いた。(聞き手、編集局長・大橋昌寛)

 

―― 足元の事業環境は。

「21年4~9月期は過去最高の売り上げ、利益となったが、半導体を中心とした部材不足、海上コンテナ不足、輸送費高騰などコストアップが大変な状況だ。年間を通すと楽観視できない。下期もリスクを織り込んでいる」

 

―― 新型コロナウイルス禍での変化は。

「大規模オフィス向けの拡販に取り組んでいるが、コロナ禍の在宅勤務(テレワーク)の広がりで、小型のプリンター、複合機などもともと得意のSOHO(小規模オフィス)向けの需要も再び伸びてきた。大規模オフィスの中でも人数を絞って分散型で仕事をするケースが増えている。豊富な製品ラインアップを生かして需要に対応する。今後、テレワークも働き方の一つとして定着すると予想している。関連需要は落ち着いた状態で続いていくだろう」

 

―― 自社におけるテレワークの取り組みは。

「一時期は出社率3割を目標にテレワークを推進してきたが、今は少しオフィスに戻ってきていて6割弱の出社率になっている。テレワークでできること、逆に弱点など、いろいろとわかってきた。出社したときにはコミュニケーションや製品体験などに重点を置き、1人でもできるような仕事はワークフロムホームの日に固めて行う。そんな形になっていくのでは。テレワークは従業員の間で評判が良い。現時点では、週2日は出社する方針で継続する予定だ」

 

―― 課題は。

「展示会などでの新規のお客さまの獲得が課題だ。たまたま当社のブースの前を通りかかった人が、新規にお客さまになっていただける場合がこれまでもあった。オンラインだと難しい。リアルもオンラインも、効率良く両方を活用していきたい」

 

―― 30年度までの新ビジョンを策定した。

「ジグザグに歩んでしまわないよう、どこへ向かうのかを先に決めてから、中期3カ年計画に具体的な戦略を落とし込んでいこうとの狙い。10年後、当社を支えているだろう40代を中心に、各事業部から選抜された23人がメンバーとなり、10カ月かけて策定した。それぞれの担当分野だけでなく、全社視点で10年後の姿を見つめ、議論してもらった。10年を見通すことで、今どのような課題があるのか、だからどうするのか、経営者感覚で仕事にも向き合える。私も19年前に当時のビジョンの策定に携わり、非常に役立った。次の世代にもぜひこれを経験してもらいたいと思った」

 

―― 新ビジョンに、初めて表題が付いた。

「メンバーの思いから、今回、新ビジョンには『At your side2030』という表題を付けた。当社の普遍的な理念『アットユアサイド』の精神でビジネスを展開していく、自分たちの将来は自分たちでつくっていく、といった強い意志を感じた。『あり続けたい姿』『価値の提供方法』『注力領域』の三つのテーマで構成している。実現に向けて困難に直面することもあるだろうが、乗り越える後押しをしたい」

 

―― 注力領域について。

「産業機器、産業用印刷などの産業用領域は、売上構成比でいえば現在約3分の1。今後、半分程度まで引き上げていく。また、主力のプリンティングは、ペーパーレスの流れで市場が縮小傾向にあるため、次の柱を生み出し育てていく。スピード感を大切に、まずはチャレンジする」

 

―― 人材をどう育成するか。

「経験学習だ。たとえば人から教わったことは忘れてしまうが、自分で失敗して学んだことは忘れない。従業員に一生の宝物をあげたいと思えば、失敗の経験をしてもらうことも大切だ」

「また、上司と部下の1on1ミーティングを行っており、考える経験も増やしている。日頃から頭を使って工夫して仕事に取り組んでいなければ、ミーティングで話す内容がなくなってしまうので、話すためにも考える。自分の考えを短く的確に、相手に響くように伝えることは重要なビジネススキル。肝心なのは部下の方から話をさせることで、上司がどれだけ語っても、部下の考える力、話す力は育たない。ストップウォッチを持ってもらい、どちらが何割話をしたか、振り返ってもらうようなこともしている」

 

―― 「気候変動対応戦略部」を発足した。

「カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の世界の流れに追従していく。太陽光パネルの設置などをはじめとする創エネ、地中熱活用などの省エネ、再エネ発電を支援するCO2(二酸化炭素)フリー電力の購入の、3本柱で進める」

■2030年に向けたキーワード/お客さまと従業員の幸せのために

デジタル化、自動化のなかで人の仕事は今後、急速に変化していく。従業員の幸せを願い、変化の中でいつまでも活躍し続けてもらえるよう、学び直しやスキルアップの環境を整える。お客さまともまた、長期的な関係を築き、さまざまな価値を提供し続けていく。

<プロフィル>佐々木一郎(ささき・いちろう) 83年名古屋大学大学院工学研究科修了、ブラザー工業入社。14年取締役常務執行役員などを経て18年から社長。64歳。名古屋市出身。

全文2281文字
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2022年5月26日(木)~27日(金)
第51回 建築総合展NAGOYA

ウインクあいち 7F・8F展示場
主催:公益社団法人愛知建築士会・中部経済新聞社

建築関連産業の課題解決と技術発展の一助とするため、製品・技術・サービスを一堂に集め、ビジネスと情報交流の促進を目的に1971年の秋より開催されている中部地区唯一の建築関連専門展示会です。

2022年6月11日(土)~12日(日)
名古屋で唯一の山岳関連イベント 第8回 夏山フェスタ

ウインクあいち(愛知県産業労働センター)7F・8F
主催:夏山フェスタ実行委員会

2日間にわたり、登山用品メーカーや自治体が出展!過去の開催では、トークショーや最新登山用品セミナー等の開催実績があり。

2022年9月3日(土)~4日(日)
あいち住まいるフェア2022

オアシス21 銀河の広場
主催:愛知ゆとりある住まい推進協議会、中部経済新聞社

新築からリノベーションまで分かりやすく来場者に提供する2日間!住まいに関する情報を発信し費者ニーズに合わせた展示・さまざまなイベントを実施!

2022年10月13日(木)
しんきんビジネスマッチング「ビジネスフェア2022」

ポートメッセなごや(名古屋市国際展示場)第3展示館
主催:ビジネスフェア2022実行委員会

東海地区34信用金庫の取引先が、ポートメッセなごやに自慢の商品、技術、情報、知恵を持ち寄って、展示・PRします。