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[未来を描く・21]青木武志(イビデン社長)氏に聞く 半導体需要にアクセル全開 3100億円の大型投資 方向性示す 増産対応へ採用、人材育成加速 環境負荷低減の軸足変わらず

未来を描く
「トップギアでアクセルを踏まないといけないと考え、大型投資に踏み切った」と語る青木社長
「トップギアでアクセルを踏まないといけないと考え、大型投資に踏み切った」と語る青木社長

 世界的な半導体不足を見据え、IC(集積回路)パッケージ基板大手のイビデン(本社大垣市)が、大型投資を進めている。計3100億円を投じて、大垣事業場(大垣市)、大垣中央事業場(同)、河間事業場(同)の生産能力を増強。さらに9月には、岐阜県大野町の東海環状自動車道・大野神戸インターチェンジ隣接地約15ヘクタールを取得することで同町と合意した。「ICパッケージ基板のおう盛な需要は2025年ごろまでは続く。生産能力を増強して応えていかなければならない」と話す青木武志社長に、電子事業を中心とした企業の将来像を聞いた。(聞き手、編集局長・大橋昌寛)

 

 ―ICパッケージ基板の足元の状況は。

「コロナ禍でのテレワークや遠隔教育の定着で、パソコンやタブレット向けが圧倒的に足りなくなった。その一方でICT(情報通信技術)、IoT(モノのインターネット)の進展でデータ量が飛躍的に増えたことで、データセンターのサーバー向けもひっ迫してきた。一昨年から工場はフル操業が続いている。パソコン向けがこれほど増えることは想定外であり、ここはトップギアでアクセルを踏まないといけない、と考えて大型投資に踏み切った」

 ―投資の内容と進捗(しんちょく)状況は。

「大垣中央事業場はもともとサーバー向けの大型パッケージ基板の生産拠点。ところが市場の要求はパソコン向けの増産であり、本来設計したラインとは別の製品を流して対応する必要が生じた。そこで、まず700億円を投資して製造設備を整備し、次いで600億円を追加投資した。追加分はこの秋からフル生産に入る」

「一方で、データセンターのサーバー向けの大型パッケージが足りなくなることは目に見えている。このため1800億円を投じて河間事業場を大型パッケージの専用工場にリニューアルする。こちらは23年度に稼働する予定だ。パソコン向け、データセンター向けの需要は、少なくとも25年までは高水準で推移すると見ている」

―大野町に新工場を建設する。

「用地は大垣中央事業場の約1・5倍で当社最大規模となる。生産するのはICパッケージが中心となるが、セラミック分野を含めて、新しい事業に対応できる生産拠点とする。稼働は25年ごろを目指している」

―生産能力を増強させる上での課題は。

「人の問題に尽きる。今の状況からすれば、電子事業であと千人程度の人員が必要となるため、新規、中途、契約を問わず採用を強化していく。この地域だけでなく、全国、さらに海外からも人を集められるよう体制を整えている。またフィリピンのICパッケージ基板工場の社員を日本に呼び、一定期間研修してもらう取り組みも行っている。スキルが高い人には役員やマネージャーとしてフィリピンで活躍してもらう」

―人材の育成では。

「量と併せて、質の問題も重要だ。技術、技能を伝承するため、当社では新人と経験者がペアになって人材育成を図る制度や、モノづくりの現場、モノづくりの知識を全員に理解してもらうための『技能センター』を設けている。大型の投資が続く中で、人材が育たないとこの先、工場運営が立ち行かなる」

―自動車の排気系部品であるDPFの状況は。

「長い目で見れば、電動化に伴って乗用車の需要は減少することは間違いない。ただ大型トラック、バス、建機などはディーゼルの高出力エンジンに頼る部分が多く、新興国ではトラック、バス需要は拡大している。乗用車の減少をトラック、バスが補うという構造は当分続き、DPF需要は30~35年までは大きく減らないと予測している。その間に電動化に向けたセラミック事業の新しい柱を整えていく」

―新事業開拓に対する姿勢は。

「これまでの経験では、コアの技術から派生したものと、狙うというよりもプロセスの中で新事業につながったものがある。新規事業は今や単独で開発するという時代ではない。パートナーとのアライアンス、あるいはM&A(企業の合併・買収)と、あらゆる可能性を視野に入れている。研究開発費は最低でも売上高の5%を維持していく考えだ」

―目指す企業像は。

「キーワードとしてはデジタル、カーボンニュートラル、コアのイノベーションだろう。このうちカーボンニュートラルについては、23年までに製品1個当たりの二酸化炭素(CO2)排出量を半分にする、などの目標を掲げ、今年4月には『グリーンイノベーション部』も立ち上げた。もともと当社はセラミックを中心に、環境負荷を減らす製品を手掛けてきた歴史があり、この軸足は決してぶれることはない」

■2030年に向けたキーワード/変化を示せる会社

変化に対応するだけでは会社は生き残れない。
「私たちはこう変わっていきます」という方向性を社会に発信することが重要であり、それが社会への貢献につながる。

<プロフィル>青木武志(あおき・たけし)関西大学工学部卒。81年揖斐川電気工業(現イビデン)入社。13年イビデン取締役、16年副社長、17年6月から社長。63歳。岐阜市出身。

全文2055文字
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