[中部圏特集・中小企業振興] 中小機構 オンライン研修の受講者増加 中小企業の経営課題支援 SDGs対応や事業継続力強化に力
中小企業基盤整備機構は、国の中小企業政策の中核的な実施機関として、時代の変化に応じた幅広い支援メニューを提供している。このうち、中小企業の人材育成を担う中小企業大学校では、コロナ禍を踏まえ、オンライン研修が好評で、受講者は増加傾向にある。また、近年、企業経営に重要な視点となっているSDGs(持続可能な開発目標)や事業継続力強化に向けた支援にも注力している。
■実践的な研修
中小企業大学校は、中小企業の人材育成を担う国の研修機関だ。組織マネジメントや財務、営業・マーケティングなど、中小企業が抱える経営課題や伸ばしたい人材にあわせて、トップからリーダークラスまで、実践的な研修を実施している。これまでに延べ68万人が受講した。
中部圏では愛知県瀬戸市に施設を構えるほか、名古屋市など都市部でも研修を実施している。
■オンライン研修
また、オンライン研修にも対応していて、オンライン研修「WEBee Campus(ウェビーキャンパス)」では、ウェブ会議システムを活用し、どこからでも気軽に学ぶことができる。
具体的なメリットは①通学不要で、1日3時間の研修を仕事の合間に効率よく学べる②少人数のため、経験豊富な講師陣から丁寧なサポートを受けられる③学びの成果をすぐに生かせる実践的な演習、などが挙げられる。
コロナ禍で移動しにくい環境下となり、受講者は増加している。商工会議所など支援機関を含む受講者は2019年度が376人だったが、コロナ禍に突入した20年度は575人と、1・5倍に増えた。
近年の新たな経営課題にも対応している。その一つのキーワードが「SDGs(持続可能な開発目標)」だ。2030年に目指すべき国際社会の目標で、貧困撲滅や気候変動対策など17の目標がある。
中小機構は今年、中小企業のSDGs対応を応援すると宣言し、相談窓口の設置や支援情報の提供、SDGs活用ガイドブックの作成、セミナー・研修の開催などを実施している。
中部本部では、7月に「ゼロから学べるSDGs活用セミナー」をオンラインで開催した。SDGsに「今後取り組む予定」「これから情報収集する予定」といった企業が多数を占め、SDGsの支援ニーズの高まりを再認識した。
■事業継続
もう一つのキーワードは「事業継続」だ。中部地方では南海トラフの巨大地震が想定されるほか、頻発する自然災害や、新型コロナウイルスのような感染症が発生し、事業継続が難しくなる場面も想定される。
企業にとっては、これらの事象が発生した場合、影響を最小限にとどめて事業を継続、早期に復旧するための実効性のあるBCPの策定と運用が必要になる。
このため、中小機構では「事業継続力強化計画」策定支援に力を入れている。中部本部では9月から、中部経済産業局と連携し、「BCP・リスクマネジメント勉強会」を継続的に開催している。11月1日に「BCPに係る認定制度」、12月中に「防災の基礎」をテーマに実施する計画だ。
また、企業からの要望に応じて、「単独型」「連携型」の事業継続力強化計画策定のための支援アドバイザーを無料で派遣している。
大企業の協力会社群を通じたサプライチェーン型の事業継続力強化計画の策定支援や、地域金融機関と連携し、関連セミナー開催後に個別アドバイスを実施する活動を展開していく方針だ。