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[未来を描く・18] 坪井明治 氏(愛知県商店街振興組合連合会理事長)に聞く より地域に密着した商店街へ 「御用聞き」サービスも検討 宅配や移動販売などで 買い物難民支援推進を

未来を描く
「地域に喜んでいただく存在であることが、本来のあるべき姿だ」と強調する坪井理事長
「地域に喜んでいただく存在であることが、本来のあるべき姿だ」と強調する坪井理事長

新型コロナウイルスの感染拡大により、国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費の低迷に拍車がかかっている。地域の暮らしに密着した商店街でも、買い物客が減るなど余波が広がる。愛知県商店街振興組合連合会の坪井明治(つぼいあきはる)理事長は、「商店街は、地域に喜んでいただく存在であることが、本来のあるべき姿。今後、キャッシュレス化や『御用聞き』のサービスも検討し、より地域に密着した商店街となるべき」と10年後の商店街像を見据える。これから取り組むべき課題などについて聞いた。

 

――新型コロナウイルス下の商店街で、見えてきた課題は。

「2019年の消費税引き上げによる影響が落ち着く前に、新型コロナウイルスの感染拡大が広がった。それまで好調だったインバウンド(訪日外国人)需要は消滅し、不要不急の外出を控える動きが強まったことで国内消費は低迷が続いている」

「コロナ下では政府などが『GoToキャンペーン』をはじめとする消費喚起策を実施したが、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の影響で、飲食店や小売店に休業や時短営業が強いられた。春祭りや夏祭りなどの集客イベントが中止となり、商店街に来るお客が減ったため売り上げが大きく落ち込み、大変厳しい状況にある」

「商店街への集客をいかに図るかということが待ったなしの状態となった。テークアウトや宅配、キャッシュレスやデジタル化など新しい生活様式への対応も求められるようになった」

 

―商店街の衰退が叫ばれて久しい。将来を見据え、商業施設や住宅などを特定区域に集約する「コンパクトシティー化」が各地で進められているなか、商店街の果たす役割も大きい。

「商店街像も、ただ単に物を売るだけではなく、地域に密着した形となることが望ましい。少子高齢化が加速するなかで、高齢者だけの世帯では郊外のショッピングセンターに行くことは難しく、歩いて行ける『買い物の場』が必要となる。都心でも買い物難民の問題が浮かび上がっている。商店街としては、移動販売の実施などで対応する。またネット販売や宅配、『御用聞き』のサービスも検討すべきだ」

「地元住民の間で、『あのお店に行けばこんなサービスが受けられる』と話題になれば、お客は必ず戻ってくるし、新たな客層の取り込みにもつながる。『毎日の冷蔵庫代わり』として、商店街を日常的に使ってもらいたい」

 

――具体的な対応策は。

「新しい生活様式に対応した販売方法やキャッシュレス化、デジタル化を着実に進める。またGDPの約6割を占める個人消費を喚起することは、景気対策として大きなインパクトとなる。確実で効果のある消費喚起策として、本年度は名古屋市と名古屋市商店街振興組合連合会などが共催する20%のプレミアム付き商品券の発行総額を前年度の約6倍に増やした。来年度も大幅な増額を強く訴えている」

「商店街にとって重要なのは、いったん遠ざかったお客を再び呼び戻すことだ。ワクチンの接種が進み、コロナ治療薬の開発や投与が広がれば、感染拡大は収束に向かい、国内消費も回復してくることは間違いない。商店街は、このコロナ下を将来の飛躍のためのチャンスだと前向きに捉えるべきだと思う。地域住民が求めるニーズをつかみ、商店街のあり方や将来ビジョンをしっかりと考えることが必要だ」

 

――行政とのかかわり方は。

「行政へは、『公共財』である商店街への支援を引き続きお願いする。一方で、商店街自体も店主の高齢化や事業承継、建物の老朽化などの課題も抱えており、商店街自身も努力していかなければいけない」

「00年には周辺生活環境の保持を目的とした大店立地法が制定された。大型商業施設の立地制限が緩和され、中心市街地や郊外への大型商業施設の進出に拍車がかかったことから、既存の商店街がシャッター通りとなるケースが各地で起こった」

「愛知県や名古屋市では、大型商業施設の進出時の地域貢献ガイドラインを制定し、地域の商店街への加入など、大型店の地域貢献活動を推進してきたが、まだ協力をいただけていない事業者もいる。大型店は地域に与える影響が大きく、積極的な地域貢献活動が期待される。そのため、商店街組織への加入など地域貢献は事業者の責務だと考える。大店立地法の改正、あるいは愛知県や名古屋市における地域貢献活動を推進する条例の制定をお願いしたい」

■ 2030年に向けたキーワード/地域コミュニティーの担い手
「商店街は、地域に喜んでいただく存在であることが、本来のあるべき姿だ」と坪井氏は強調する。アーケードや街路灯、防犯カメラなどを設置するなど、地域住民や来街者の安心安全を維持するためにも大きな役割を担っている。衰退が叫ばれる商店街。地域ニーズに寄り添うことで、周辺住民の生活の軸となれるか。今後の変革に期待がかかる。

<プロフィル>坪井明治(つぼい あきはる)68年愛知学院大学商学部卒。坪井花苑社長。96年から栄町商店街振興組合理事長、名古屋市商店街振興組合連合会理事長、97年から愛知県商店街振興組合連合会理事長、11年全国商店街振興組合連合会(全振連)理事長、19年から全振連最高顧問、全国商店街政治連盟会長。名古屋市出身。76歳。

全文2135文字
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2021年10月4日の主要記事

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