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[未来を描く・16] 冨安徳久(ティア社長)氏に聞く 30年に葬儀会館260館へ M&A推進 全国展開を加速 感動を届ける人材育成へ 施設活用〝教育〟の外販も

未来を描く
「葬儀社のM&Aで会館数を拡大する」と話す冨安社長
「葬儀社のM&Aで会館数を拡大する」と話す冨安社長

高齢化に伴い死亡人口が増加する一方、葬儀社は経営者の老齢化や後継者問題で減少傾向にある。愛知を中心に約130の葬儀会館を構えるティア(本社名古屋市)は、全国展開を進めてインフラを整備する。2030年に名古屋、東京、大阪を基盤に260館を目指す。冨安徳久社長に施設展開の戦略などを聞いた。(聞き手、編集局長・大橋昌寛)

―30年の進出計画は。

「直営、フランチャイズチェーン(FC)ともに現在の倍の140館と120館に引き上げて計260館とする。直営は名古屋、東京、大阪を中心とするが、FCは重点地域を設けず、進出地域を広げる。当社設立から24年かけて130館を構えたのに、あと10年でその倍にするのは無茶だと言われそうだが、葬儀社のM&A(合併・買収)によって会館数を拡大する」

―コロナ禍の葬儀への影響は。

「感染を恐れて参列者が減り、葬儀単価が低下した。コロナウイルス変異株のデルタ株も広まり、単価を戻すのは難しいが、1、2年かけて戻していく。高価格帯の食事や返礼品を提案することで単価を補う」

「リモートではなくリアルな葬儀にこだわってきた。葬儀は延期もできず、不要不急ではない。後悔しないよう、故人の顔を見に来てほしい」

―10年後の葬儀件数は。

「直営、FC合わせて3万件に引き上げたい。今年は計1万7千件を超える見通し。FCにもティアの理念を共有し、人材教育をしっかり行ってきたことが結果につながった」

―経営指標は。

「ティア会員数とシェアだ。会員は10年後に倍増の100万人を期待する。名古屋の火葬場のシェアは1位を目標にしてきたが、当社調べでは現在約26%で、このままいけば今年は初めて1位を獲得できる。次は葬儀社のなかで全国シェア1位を目指す」

―高齢化で参列者が減少している。小規模な家族葬会館を増やすのか。

「家族葬会館は一般葬向けに比べて投資額が半分で済むこともあり、増やしていく。ただ市場によって一般葬向けも設ける。また葬儀の要望に細かく対応する、プレミアム家族葬会館を考えている。場所は火葬場に近く利便性の高い八事などを想定している」

―施設増に伴って人材育成が必要になる。

「当社の強みは人材。葬儀で感動を届けるため、人間らしい人材を育てようと、社員の研修施設を開設した。座学と、指導係のもと体験する仕事を含めて新卒は1年、中途は2カ月研修を受ける」

「研修施設を学校法人化して教育を外販できるようにしたい。同業他社が当社をまねすれば、業界の先駆者になれる」

―新事業に参入する可能性は。

「本業以外には手を出さない。独立したときから、葬儀で全国展開すると決めていた。ただ(納棺前に遺体を洗浄する)湯灌(ゆかん)など葬儀関連事業は、子会社ティアサービスが手掛けている」

―強化する取り組みは。

「会員向けサービスを充実させる。(死別の喪失感を支える)グリーフケアを、専門のサロンと提携して行っている。ペットを大事にする人が増えたため、ペット葬儀会社と契約し、ペット葬にも対応する」

「SDGs(持続可能な開発目標)に向け、全直営会館の照明をLED(発光ダイオード)に切り替えた。太陽光発電の導入も検討する」

■2030年に向けたキーワード/全国展開
10年間で政令指定都市など主要な地域への出店を進めたい。なかでも名古屋、東京、大阪は重点地域。この3都府県で基盤を固め、全国展開の礎を築く。2040年には死亡人口がピークを迎える。会館を増やして需要に対応し、災害時の避難所としても提供する。

<プロフィル>冨安徳久(とみやす のりひさ) 79年愛知県立豊丘高等学校卒、西日本セレモニー山口典礼山口店入社。82年出雲殿入社、94年名古屋丸八互助会入社。97年ティア設立、社長(現職)。愛知県宝飯郡一宮町(現・豊川市)出身。61歳。

全文1584文字

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