中部の3月期決算企業 株主総会が本格化 「丁寧な対話」に腐心 コロナ禍2度目 配信を積極活用
通信販売のスクロールは、例年通り3月期の国内企業で最も早く5月28日に株主総会を開いた。株主には議決権の事前行使を推奨し、出席する場合も事前予約制にした。またキムラユニティーや名港海運、伊勢湾海運、東陽倉庫は議決権行使の仕組みにQRコードを利用し、株主が簡単に操作できるようにした。
トヨタグループでは、豊田自動織機が6月10日に開催したのを皮切りに、トヨタ紡織も11日に開いた。トヨタ紡織は、感染対策のため一部役員がオンラインで参加した。効率的な運営に努め、所要時間は昨年並みの61分になった。50人の株主が出席。新規事業などに関して質問があり、将来の展望を示した。
なお、トヨタ自動車は16日、アイシンは18日、デンソーは22日にそれぞれ開催する予定だ。17日に開く豊田合成は、初めて会場を豊田合成記念体育館エントリオにする。
ブラザー工業は瑞穂工場(名古屋市)ホールを会場に開催するが、同じく一部役員がオンラインを通じて別の場所から参加する。
中部電力は25日に名古屋市東区の東桜会館で株主総会を予定している。今年から初めてネットを活用したライブ配信を実施する。実開催とウェブを並行したハイブリッド方式での開催となる。例年、総会で実施していた報告事項ビデオの上映や対処すべき課題の読み上げについては昨年と同様に、事前編集した映像をホームページ上にアップしている。
25日に開催するスズキは、浜松市内のホテルを会場にするのと同時に、初めて株主向けにライブ配信も行う。自宅からでも会場の様子を確認できるようにする。
9日には改正産業競争力強化法が成立し、上場企業が会場を設けずにオンラインで株主総会を開くことができるようになった。もっともオンラインのみでは株主との対話に課題が残り、当面はオンラインのみの開催は限定的になる見込みで、今後も最適な運営を模索することが続きそうだ。