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[未来を描く・2] 夢は「世界で戦える企業」 福澤知浩(スカイドライブ社長)氏に聞く

未来を描く
「世界で戦える日本発のスタートアップの盛り上げに貢献したい」と話す福澤社長
「世界で戦える日本発のスタートアップの盛り上げに貢献したい」と話す福澤社長

 夢の乗り物「空飛ぶクルマ」の開発で日本企業の先頭を走っているのがスタートアップのSkyDrive(スカイドライブ、本社東京都)。昨年夏には、研究開発拠点がある豊田市内で空飛ぶクルマの有人飛行試験を初めて公開し、技術力を世界へアピールした。空飛ぶクルマの開発状況や日本発のスタートアップの課題などについて福澤知浩社長に聞いた。(聞き手、編集局長・大橋昌寛)

 

―昨年8月、公開の有人飛行試験に成功した。足元の開発状況は。

「昨年夏の公開飛行試験で披露したのは1人乗りの機体だ。空飛ぶクルマは新しいモビリティなので、とても多くの反響を頂いた。当社の機体はこれまで幾度も飛行試験を重ね、安定した飛行技術を確立することができた。我々は2023年の一般発売をめざし、2人乗り用の機体を開発している。22年にも2人乗り用のお披露目ができそうだ

昨年夏、有人飛行試験の公開で使用した開発機体

―開発課題はどういったところにあるのか。

「一般に人を乗せてサービスを開始する23年に向けての残された課題は、安全性を既存の航空機並みに上げる技術の確立に加えて、(日本国内で)型式認証を取得することだ。日本国内では空飛ぶクルマの(型式認証の)事例がまだ無い。国は4月、空飛ぶクルマなどを扱う専門部署(次世代航空モビリティ企画室)を新設した。安全基準の整備などを推進していく部署で、事業化へのスピードアップが期待できる」

「開発状況を山登りに例えると4合目を超えたあたり。開発は加速していて、おおむね順調だ。ただ、新型コロナウイルスが今後の開発に支障をきたすリスクをはらんでいる。例えば空飛ぶクルマに必要な部品の流通が滞り、開発が遅れるといった事案だ。また、技術的な部分では飛行時の騒音や開発コストなどが挙げられる。こうした部分も着実にクリアしていきたい」

―開発には多くの人材が必要になる。

「現在、当社の人員(エンジニア含む)は100人弱。(サービス開始の)23年にはこれを3倍以上に増やす計画だ。特に中部圏は、(国産旅客機『スペースジェット』の開発中断に伴い)航空機人材の流動が活発化している。こうした人材を積極的に受け入れており、技術レベルは向上している」

―採用面で苦労していることは。

「採用で特に注視しているのが、ゼロからイチを創造する企画力や仲間を巻き込む力などをみている。人事を専門にしているスペシャリストの助言を受けながら随時採用を進めている」

―空飛ぶクルマの開発には世界で100社あまりがしのぎを削っている。厳しい開発競争の中、打ち勝つには潤沢な資金力が鍵を握る。

「日本のスタートアップの資金調達能力は、ここ10年ほどで5~10倍に高まった。ひと昔前と比べだいぶ調達しやすくなったものの、依然として米国のスタートアップと比べ50分の1にとどまっている。空飛ぶクルマの開発資金は巨額なので、海外から継続的に調達できるか否かが課題。当社の技術力、将来性を積極的にアピールしていく」

―スタートアップの数が日本は少ない。

「中部は愛知県や名古屋市など行政がスタートアップ支援に力を入れているものの、ものづくり系がまだまだ弱いと感じている。背景の一つに優秀な人材を集めることが難しい点にある。自動車産業を中心に経済は安定していて、製造業の優秀な人材が大手企業にとどまっており、人材の流動化が乏しい。安定志向 が高ければ高いほどスタートアップへ転職することを躊躇(ちゅうちょ)してしまう。スタートアップに人材が流れるような国や行政の支援があれば良いと思う」

「ものづくり系のスタートアップの給与は低い傾向にあるのは事実。これは優秀な人材が集まらないから低いまま、または低いから優秀な人が来ない、ともいえる。一方、IT系のスタートアップは昔に比べ給与水準は高くなった。人材と給与の好循環が生まれている証拠。ものづくり系も夢物語ではないはずだ」

「スタートアップの魅力は、どんどん自分のやりたいことや新しいことにチェレンジできることだろう。ものづくり系スタートアップの一企業として空飛ぶクルマの開発に力を入れるだけでなく、世界で戦える日本発のスタートアップの盛り上げにも貢献していきたい」

―自動車業界をはじめさまざまな業界が変革期を迎えている。2030年はどういった企業像を描いているのか。

「『100年に1度のモビリティ革命をけん引する』企業を目指し、全社員一丸となって取り組んでいく。空飛ぶクルマは完全に新しいモビリティなので、いかにみんなが『空飛ぶクルマに乗ってみたい』と感じてもらえるようなムーブメントが必要になってくる。今後は、国や他社とも連携して新しいモビリティを受け入れてもらえる環境づくりにも力を入れていきたい」

■ 2030年に向けたキーワード/「空の自動運転」
スカイドライブは「日常的な移動に空を利用できる世の中」の実現に向けて日々活動している。開発中の「空飛ぶクルマ」に乗って安心・安全・快適に移動するためには、高度な自動運転技術が不可欠である。

<プロフィル>福澤知浩(ふくざわ・ともひろ)
東京大学工学部卒、トヨタ自動車入社。自動車部品のグローバル調達を担当。17年に独立。18年にスカイドライブを創業し、代表に就任。

全文2139文字

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