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[中部圏特集・中部経済の見通し] 中部経済、緩やかに持ち直しへ 回復度合い強い製造業 新規貸し出し東海全体で一服 日本銀行名古屋支店 前支店長 加藤毅(かとう・たけし)氏に聞く

中部圏、将来の飛躍へ着々
「東海3県の景気は緩やかな持ち直しの動きが続くだろう」と話す加藤氏
「東海3県の景気は緩やかな持ち直しの動きが続くだろう」と話す加藤氏

中部経済の先行きが緩やかに回復へ向かっている。今月1日、日銀名古屋支店が発表した東海3県(愛知、岐阜、三重)の3月の企業短期経済観測調査(短観)は、製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)が昨年12月調査から13ポイント改善しマイナス3だった。改善は3期連続だ。生産・輸出が増加基調にある自動車産業を中心に回復が続いた。非製造業は2ポイント改善しマイナス17。全産業は9ポイント改善しマイナス9だった。こうした足元の状況から中部経済の景気はどう動くのか。日本銀行名古屋支店、前支店長の加藤毅氏(現日銀理事)に中部経済の動向などを聞いた。(取材は3月23日)

 ―東海3県(愛知・岐阜・三重)を中心とした、中部地方の経済の現状について。

「3月に発表した東海3県の金融経済動向では、『厳しい状態が続くなかでも、持ち直している』という総括判断を据え置いている。輸出と生産は増加基調にあり、個人消費もスーパーやドラッグストア、家電販売が堅調であるなど、全体としては持ち直しの傾向にある。2月の消費者態度指数は4カ月ぶりに改善した。ただ、飲食や宿泊サービスなどでは、外出自粛や休業・時短営業の影響により、下押し圧力の強い状態にある」

「足元の景気をみると、大きく三つの特徴が挙げられる。まず、景気は厳しいものの、昨年の春ごろに比べれば、景気の持ち直し度合いが強いという点だ。一方で、業種や業態間の業況の回復度合いの差は広がっている点も挙げられる。飲食、観光、航空機、運輸関係の業況は全国一律に同じように厳しい。もっとも、東海地域は製造業関係の回復度合いが全国と比べて強い。各国政府の財政出動などにより、乗用車など耐久消費財の販売で回復は強くなっていることも、製造業比率の高い東海地域の業況改善につながっている面があるとみている」

「また、今回のコロナショックの本質には、感染症拡大による不安から行動自粛したりする需要ショックの側面がある。その動きがどう変化するのかによって景気が変動する点も特徴の一つだ。2月の後半ぐらいから感染者数が減少し、人の動きが戻りつつある中、百貨店の売り上げやレジャー施設の客足も回復の動きがあるなど、明るい兆しも一部でみられる」

 ―コロナ禍を踏まえた景気回復の見通しは。

「回復の足取りを展望すると、少なくとも向こう1年程度の景気は回復する方向に進んでいくと思う。この期間中に、景気がコロナ以前の水準まで完全に戻るわけではなく、持ち直しのペースは緩やかなものになると思う。昨年の春に大きく落ち込んだ需要は、昨年後半ぐらいから戻してきた。全国的にみても、需要は緩やかに回復している。新型コロナウイルス感染症の変異株の感染動向などの不確定要素はあるが、需要が落ち込んだ昨年の春ごろとは状況は異なっており、先行きの景気回復を期待したい」

 ―日銀名古屋支店がまとめた東海3県の金融機関店舗ベースの1月末時点の貸出金残高は、前年同月比13・5%増の42兆9967億円だった。コロナ禍における地域金融機関への評価と、今後期待する役割について。

「昨年の一番厳しかった時に、地域の金融機関が企業の資金繰りを相当支えてくれた。そのおかげで倒産件数も抑えられている。企業側の資金繰りも、多くの製造業はかなり回復していて、期間従業員の採用を戻したり、資金繰りのめどがついた企業は早期に借入金を返済したりしているところもある。新規貸し出しは、東海地域全体としては一服している」

「ただ、飲食、サービス業など業況が引き続き厳しい業種もあり、資金繰りのニーズは強い。こうした業種では新規の借り入れを行う動きも一部であるようだ」

「金融機関の信用コスト負担は、当初想定していた範囲内に収まっている様子だ。取引先に対する資金繰りの支援はもちろん大事だが、これからは取引先企業の経営体力を回復させていく局面に入っていく。地域の金融機関は、取引先に対する資金面の支援から、事業承継のサポートや本業支援など、もう一歩次に進んだ支援を意識している。各金融機関ともしっかり支援策を進めてほしい」

 ―コロナが及ぼす新規採用など雇用への影響についてどうみるか。

「製造業に関しては、短期的にみると雇用は回復傾向にあるが、中期的にみた場合、100年に一度とされる変革期を迎えている自動車業界など、大きな構造の変化に対する身構えから、製造業全体の景気の回復度合いに比べると、雇用に対する意識は少し弱い傾向があるようだ。一方で、非製造業は飲食や宿泊などのサービス業において雇用に対して慎重な動きがみられる」

 ―中部経済の先行きについて。

「日本銀行では、金融政策を適切に行う観点から、ミクロ経済の情報、基礎となる経済や金融情勢について、タイムリーな情報の収集に努めている。全国的にみても、ものづくりの集積地と呼ばれる当地における製造業の動きは、(景況感などを)判断する際に重要になっている。世界の有力メーカーが集積する当地の工作機械の受注も昨年秋ぐらいから戻り始めている。引き続きの回復に期待したい」

「また、スタートアップ(新興企業)の育成や集積をサポートする動きが広がっている。当地域には、オープンイノベーションの発想、取り組みで発展してきた企業が数多くある。アフターコロナへ向け、これまで進めてきたイノベーティブな取り組みをしっかり続けてほしい。地域の金融機関にもそうした動きをしっかりと支えていただきたい」

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