中部のファッション専門学校 「発信力」教育に注力 EC、SNS対応へ 業界の求人数も増加
ファッション業界専門の転職支援サービスを運営するパーソルキャリア(本社東京都)によると、2020年12月~21年2月のファッション業界の求人数は「プレス・販売促進」と「EC・通販関連」に関連する人材が前年同期比で4割以上増加し、採用意欲が高まっている。
名古屋モード学園(名古屋市)は20年度から、オンライン販売サイト「ストアーズ」を運営するストアーズ・ドット・ジェーピー(本社東京都)と連携し、ECサイトの運営を授業の一環として始めた。
同校では教員とファッション企業による意見交換の場を年2回、設けている。吉田光孝校長は「企業側から、学生に『発信力』を求められるようになった」と話し、授業では「洋服のイメージそのものを伝えるために、どのように演出し、発信していくか」に重きを置いているという。
中部ファッション専門学校(知立市)では、ファッション産業学科の2年次に、学生がチームでブランドを立ち上げて、制作した服をオンラインと店舗で販売する取り組みを学ぶ。
授業ではインスタグラムを通じてブランドを情報発信し、販売サイトに誘導させる。担当教員は「視覚的表現は学生の方がよく分かっている」と打ち明ける。片嶋一光副校長は「ファッション業界が変わるなかで、商品の企画運営や提案ができることが今後大事になってくる」と指摘する。
名古屋ファッション専門学校(名古屋市)は、ファッション流通学科1年生の授業で、服やアクセサリーの販売を想定したECサイトを制作する。実際に販売はしないが、オンラインでの効果的なブランドPR手法を学んでもらうために開講した。
授業では、商品の撮影加工技術やショップロゴ作成などを複数科目で学ぶ。ターゲットとする客層の年齢や購買傾向などを詳しく調査し、「誰に向かって発信するか」を明確化する。その後、自身で制作した服や手持ちのアクセサリーなど10点程度を撮影し、既存サイトを活用して学生個人がECサイトを制作する。
佐藤弥生校長は「ファッション流通学科の学生は卒業後にバイヤーや店舗を運営する職に就く人が多い。いかに商品を魅力的にアピールするかについて学んで欲しい」と話している。