漆喰九一 しっくい用着色剤開発 コロナ禍でDIY需要増 新たな顧客開拓
着色剤は、絵の具のようにしっくいの上に塗り重ねたり、混ぜて使う。「色ノロ」と呼ばれる、しっくいの表面に材料を塗って鮮やかに発色させる伝統的な技法を応用した。成分は消石灰、顔料、海藻、にかわ、和紙の原料にもなるコウゾ繊維、焼酎などで構成する。
開発のきっかけは、ある企業の会議室内を改装するプロジェクトに参加したこと。木材やしっくいなどの自然素材を用いて快適なワーキングスペースをつくる取り組みのなかで、しっくいに色を付けられないかとの要望を受けた。
設計を手掛ける住生活環境研究所(名古屋市)の福田啓次代表が設定したコンセプト「森のけしき」に合わせて、4色の着色剤を完成。むし栗色(黄)、若芽色(緑)、藍白色(青)、だいだい色で、それぞれ木材、葉、空、果実をイメージした。やわらかく、温かな色合いに仕上げた。
コロナ禍で在宅時間が長くなり、家の間取りを変えたり、収納棚を増やしたりするなどのDIY需要が増加。これを商機とみて、内装をカラフルなしっくいで手軽にアレンジできる商品の一つとして、一般消費者向けに販売する。1袋2リットル入りで、価格は今後詰める。
着色剤やしっくいなどの材料を販売する以外にも、はけなど機材のレンタルを検討中。購入する量がわからなかったり、塗り方が難しいなどといった一般消費者の悩みに応えるため、職人が1日指導するサービスも展開する予定だ。
しっくいは、水酸化カルシウム(消石灰)を主成分とした建築用の自然素材で、調湿力や消臭、抗菌作用などを持つ。室内空間を快適に保つ目的で建物の内装に用いられることも多い。着色剤は一般向けだけでなく、「工務店や設計事務所などの差別化にもなる」(福田社長)ことから、業者向けにも提案する。