名古屋市内ホテル、貸衣装店の対応 コロナ禍で「成人式」一変 貸し出し延長を無償に ”晴れの日”演出に知恵
■宴会は自粛
名古屋市内のホテルは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、式典後に開かれる宴会の自粛が増えている。ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋(名古屋市中区)は宴会場を利用した成人式の2次会は「ほぼない」(担当者)と打ち明ける。簡易的な式典のみ行い、弁当を持ち帰るという会合が1件あるだけで「例年とはまったく違う」(同)様相を呈している。ただ、前撮りや当日の着付けの予約状況は例年通りだという。
ヒルトン名古屋(名古屋市中区)は毎年、個人単位での同窓会や2次会が開催されていたが、今年は予約が入っていないという。要因について担当者は「想像になってしまうが」と前置きしつつ、「コロナ禍で集まりを避けたのだろう」とみている。
■食事券を配布
貸衣装店アンジュ(本社名古屋市)は、名古屋市内に2店舗、岐阜県岐南町に1店舗展開する。同社は、式典が取りやめになった場合でも、着付けやヘアセットを予定通り行う。式典の延期に伴い、貸出期間を延長した場合も無償で対応するという。
昨年末、岐阜市が式典の開催を1月10、11日から5月2日へ延期すると発表した。アンジュの岐阜店では100件が延期の対象となった。同店は対象者にチェーン店などで利用できる2千円分の食事券を配布する。佐々木篤史社長は「式は開催されなくても、家族など親しい人たちとお祝いができれば」と話す。
キャンセルへの対応は、写真撮影を済ませた人にはレンタル料金の半額、撮影を行っていない人には全額を返金する。
■撮影だけでも
新型コロナウイルス感染症の拡大で、写真撮影のみ行う要望も増えてきている。貸衣装店の仙石(本社名古屋市)は、写真撮影の要望が前年と比べて3割ほど増加したという。一生に一度の成人式。新型コロナウイルス感染を受け、感染リスクや式典の中止を見込み、振り袖姿で記念撮影する需要が増えているとみられる。