[取材ノート] 名古屋市の文化振興を注視 / 名古屋
2027年に予定されているリニア中央新幹線の開業は不透明感が増しているが、名古屋市では、これまで通りまちづくり計画を進める。今年から名駅地区や伏見地区、栄地区で高層ビル建設の要件緩和を打ち出した。
ポイントは、河村たかし市長が唱える文化・観光振興だ。市条例で建物容積率を大幅緩和する条件として、劇場や展示場などの文化・交流施設の導入を求める。こうした市長方針は、名古屋城天守閣木造化や久屋大通公園の再開発、木曽川流域自治体との「尾張藩連携事業」など、就任当初から一貫している。
市国際展示場の拡張や論議を呼んだ長島統合リゾート提案も同じ流れにある。だが、天守閣木造化の計画遅れや実現のめどが立たないものもある。
市長任期は来年4月まで。現状でその後の去就は明らかにしない。市長が交代すれば流れが変わる場合もあり、注意深く見守る必要がある。
■吉川 英司(よしかわ・えいじ)
名古屋市内の中小企業と名古屋市政などを担当。大文豪を引き合いに取材先からいじられがち。時代小説ファンだった父親につけられた名だが、引け目から「宮本武蔵」すら読んだことがない。