トヨタ 来年度国内生産 320万台弱 大台復活 回復軌道に ものづくり基盤死守 新型投入で積極攻勢
トヨタが国内のものづくり基盤を維持するうえでの前提条件に掲げる国内生産「300万台体制」の大台復活は2年ぶり。
21年度上期(4~9月)の生産は150万台強、下期(10月~22年3月)は170万台弱と見込んだ。トヨタは11月、20年度の国内生産見通しを従来の280万台から290万台に引き上げた。新型コロナ対応に伴う春先の工場停止などが響いて19年度実績の約330万台から依然大きく落ち込む見込みだが、300万台割れは一時的となる。
足元では6月に発売した新型SUV「ハリアー」や8月発売の新型小型SUV「ヤリスクロス」などが好調で、9月以降は国内生産が前年同月実績を超えて推移。来年1~3月の国内生産見通しは前年同期比2・7%増の82万台程度となっている。
来年度も「ヤリスクロス」や小型車「ヤリス」、海外でも人気が高い高級ミニバン「アルファード」の生産が高水準なほか、タイに続いて新型SUV「カローラクロス」の国内導入、小型ハイブリッド車(HV)「アクア」の新型発売を控えており、SUV「4ランナー」、セダン「カローラ」などの輸出車生産が全体を下支えする。
豊田章男社長はかねてから「グローバル生産をけん引するために競争力を磨く現場が必要」とし、国内生産300万台体制の維持にこだわる姿勢を示している。300万台の大台復活は、部品を供給するサプライヤーの収益面や投資心理などにも良い影響を与えそうだ。
トヨタは世界で戦えるSUVを積極投入する一方で、セダン「プレミオ/アリオン」、ミニバン「プリウスα」を来年3月末までに生産終了するなど車種の世代交代を推進する。販売店改革の一環として今年5月から始まった全車種併売化の総合力が一層試されそうだ。