テーラー神谷など老舗4社 「本物の仕立て」世界に発信 業界団体を再始動
同クラブは1966年の設立。全国各地の加盟店で構成し、国内外で活動を広げてきた。だが、その後、仕事着のカジュアル化などにより、オーダースーツ市場は急速に縮小。仕立てを簡素化した安価なイージーオーダーも台頭し、加盟社数は84年の36社をピークに減少。ここ3年ほどは活動を休止していた。
再始動に動いたのは、テーラー神谷のほか、銀座テーラー(東京都中央区)と紳士服松崎(大阪市)、柴田音吉洋服店(神戸市)の4社。創業130年を超える老舗、柴田音吉洋服店の柴田音吉社長が3社に呼び掛けた。
フルハンドメードの特長は、素材選びから採寸、裁断、縫製、芯地や裏地などの付属品を付けて立体に仕上げること。職人が一針一針手縫いし、その人だけの1着を仕立てる。
再始動と同時に、「今後100年、200年とテーラー業界が続いていくように」と願いを込め、4社で日本最高峰のテーラーブランド「センチュリー・テーラーズ・クラブ(CTC)」を立ち上げた。CTCは、ITCの運営組織として大阪市に事務局を置く。
今後は両クラブのホームページを開設し、加盟各社の紹介など情報発信に注力する。さらに、国内テーラーに向け、ITC加盟を呼び掛けるほか、欧州の各テーラー協会などとも連携し、世界に向けて活動を広げる方針。
テーラー業界は仕立て職人の後継者不足が課題となっている。神谷ガーメントの神谷裕之会長は「ITCがテーラー業界をけん引し、業界を志す若い人たちが追従してくれれば。近年は20、30代の若者もオーダースーツを新規購入する需要が出ている。かつての『いつかはクラウン』のように、『いつかはフルオーダー』と夢を持てるような業界にしたい」と期待を膨らませている。