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トヨタ ”復興けん引”に力強さ 21年3月期営業利益 1.3兆円に上方修正 米中回復、新型投入の手緩めず

オンラインで会見する豊田社長
オンラインで会見する豊田社長
 経済復興のけん引役に期待されるトヨタ自動車が力強さを増している。6日発表の2021年3月期通期連結営業利益見通しは、5千億円から1兆3千億円に上方修正。米中を中心に販売が回復し、ダイハツ工業、日野自動車を含むグループの総販売見通しも910万台から942万台に引き上げた。「自動車産業の回復スピードは早く、日本経済に良い影響を与えられている」と豊田章男社長。今回の上方修正は産業界がさらに目線を上げる一助になりそうだ。

 通期予想の売上高は従来の24兆円から26兆円に、純利益は7300億円から1兆4200億円に上方修正した。トヨタ単体(トヨタ・レクサス車)の世界販売は830万台から860万台に、世界生産は800万台から825万台に計画の上積みを図った。新型コロナ影響が直撃した4~6月期は販売が前年同期比31%落ち込んだが、7~9月期は6%減まで回復。10~12月期には前年同期並みとなり、来年1~3月期には5%の増加を見込む。
米中の勢い取り込む
 業績を大きく下支えしているのが、中国と米国。トヨタの中国販売は4~9月期に19%増の99万2千台を記録。直近10月も33%増と高い伸びを示し、レクサス増販が収益を押し上げている。
 米国を含む北米販売は4~9月期35%減の93万台だが、軸である米国販売は9、10月と2カ月連続で増加。近健太最高財務責任者(CFO)は北米事業について「7~9月期だけみると増益。インセンティブ(販売奨励金)もきめ細かく対応できている。ピックアップトラックやSUV(スポーツタイプ多目的車)を中心に在庫が足りていない」と課題を話す。
新規案件止めず
 自動車各社の回復がまちまちとなる中、トヨタは新設計構造改革「TNGA」を背景にした車両開発を進め、新規開発プロジェクトを一切止めなかったことで新型車を効果的に投入し続けた。日本や欧州での販売も持ち直し、4~9月期は全地域で黒字を確保。通期の設備投資額は1兆4千億円に500億円増額修正した。
 トヨタは期初に掲げた通期営業利益5千億円を早くも達成。豊田社長は急回復要因として、社長就任後続けてきた体質強化に加え、「(コロナ禍においても)生産面では非稼働日に全員でカイゼン活動に取り組み、販売面ではオンラインなどでお客さまとの関係づくりを続けてくれた。必死に自分たちの仕事をしたと思う」と逆風下での努力をねぎらった。
幸せの量産
 生産や販売も持ち直しで、トヨタ系上場サプライヤー15社中8社が通期予想を上方修正するなど好影響が広がっている。ある二次サプライヤーの幹部は「トヨタの想定以上の回復は大変助かっている。むしろついていくのが大変」と笑顔。その一方で、「急拡大期ほどひずみが出やすい。リコール(回収・修理)を出せば当社ぐらいの会社は即退場となるだけに、品質の確保には一層力を入れたい」と強調する。
 トヨタは12月初旬にも投資会社のスパークス・グループ(本社東京都)やメガバンク3行と国内のものづくり企業を投資対象にした新たなファンドを設立する計画で、優れた技術を持つ企業をトヨタ生産方式(TPS)などで支援し、日本のものづくり発展に貢献する。豊田社長は「トヨタフィロソフィーで私たちの使命は『幸せの量産』と定義した。有事の時こそ自分以外の誰かのために、未来のために仕事をしていきたい」と話しており、分けられる強さを磨き上げるための地道な努力を重ねる構えだ。
 トヨタ事情に詳しい東海東京調査センター・杉浦誠司シニアアナリストの話
 ポジティブな決算。開発、生産、販売が一丸となって他社よりも早く回復し、通期予想の上方修正も市場の期待を上回った。ただ、下期は保守的でまだ上振れ余地がある。電動化に向けての開発、ウーブン・シティなど中長期的な投資をどう収益化するかが課題だ。

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