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文学のふるさと 鳥羽市 「潮騒」 三島由紀夫 純恋愛小説の舞台・神島 60年経ても残る風情

神島の風景
神島の風景

 11月25日で没後50年を迎える三島由紀夫。戦後の日本文学を代表する作家で、「仮面の告白」や「金閣寺」など多くのヒット作を世に残した。1954年に刊行した10作目の長編小説「潮騒」では、漁師・新治と海女・初江との純恋愛を描いた。その舞台となったのが、鳥羽市に属し、伊勢湾の入り口に位置する神島だ。
 神島は、周囲3・9キロメートルの小島。小説の冒頭では「人口千四百」とあるが、現在では過疎化が進み、約300人まで減っている。
 神島に渡る手段は、鳥羽市営定期船のみ。鳥羽駅から徒歩5分の鳥羽マリンターミナルから発着する。定期船は神島、答志島、菅島、坂手島の有人4島と鳥羽本土を結んでいる。神島へのダイヤは1日に行き帰りそれぞれ4本と少ないが、島民にとっては、生活必需品の輸送手段でもあり、重要なライフラインだ。
 約40分の船旅を経て、神島に上陸するとまず、2013年に整備された潮騒公園が目にとまる。小説の書き出しと三島の名が彫られた文学碑が建てられている。そのすぐ近くには、新治と初江の最初の出会いの場となった船揚場があり、今も小さな漁船が並んでいる。
 漁港前に密集する民家の間を抜け、200段以上の階段を上がると、八代神社がある。作中、新治が美しい花嫁を授かるように、初江は新治の航海の無事を、それぞれ祈った場所だ。
 八代神社からさらに山道を登り、30分ほど歩くと、監的哨跡にたどり着く。もとは1929年に旧陸軍が建設した軍事施設。伊良湖から撃つ大砲の着弾点を監視する施設だった。「潮騒」の中では、2人が待ち合わせをし、嵐のなかで抱き合う重要なシーンに登場する。
 三島は1953年、28歳のとき神島を訪れ約1カ月滞在した。物語に出てくる建物のほとんどが、神島に実在している。60年以上経過した現在でも当時を思い起こさせる風景が残る。
 <あらすじ>歌島(神島の古名)の美しい自然や素朴な島の暮らしを背景に、漁師の新治と、有力者の娘で海女の初江という若い2人を描いた恋愛小説。
  ◇       ◇
 <作者紹介>本名は平岡公威(ひらおか・きみたけ)。1925年、東京で生まれる。47年、東京帝国大学法学部を卒業。49年「仮面の告白」、56年「金閣寺」を刊行。70年11月25日、自衛隊市ヶ谷駐屯地で割腹自殺。

全文953文字

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