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【中部圏特集】新型コロナに打ち勝つ 企業が相次ぎサービス提供 

ポストコロナ時代の環境ビジネス
愛知県の金融機関代表者が集まった金融懇談会
愛知県の金融機関代表者が集まった金融懇談会

 新型コロナウイルスの感染拡大により、中部企業の事業活動に影響が広がっている。自治体や金融機関は相次ぎ支援策の策定などに乗り出した。一方、コロナの影響を緩和しようと、ウェブ会議システムや、健康づくりに役立つ映像コンテンツを無料で開放するなど、自社のサービスを役立ててもらおうとする企業も増えている。

新型コロナの影響で中小企業の業況は悪化した。約4300人の会員を持つ愛知中小企業家同友会がまとめた2月の景況調査は、景況判断指数がマイナス2となり、前回の11月調査から17ポイント悪化。マイナスは、東日本大震災直後の11年5月以来9年ぶりだ。

公的機関の支援相次ぐ


こうしたなか、国や自治体、金融機関、商工会議所などが相次ぎ、支援策の策定や相談窓口の開設に乗り出した。

愛知県は3月3日、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた中小企業の支援を狙い、緊急つなぎ資金を創設すると発表。県が信用保証料を全額補助し、さらに愛知県信用保証協会に対する損失補償を全額実施することで、同資金に対する信用保証の促進を狙う。

今回の緊急つなぎ資金は、同ウイルスの影響を直接・間接的に受け、直近1カ月の売上高などが前年、または2年前の同月と比べ減少している中小事業者が対象。資金使途は運転資金で限度額は5千万円。融資期間は3年で利率は年1・2%。2千億円の融資枠を設けた。

名古屋市は、新型コロナの影響を受ける中小企業への支援策として、名古屋市信用保証協会への保証料のおおむね3年間分を免除する措置について、新たに国が実施する「大規模危機対策資金」も対象に加えた。

追加対象の大規模危機対策資金は、売上高が前年同月比で15%以上減った中小企業に対し、上限8千万円の融資を行う。融資期間は3年~10年以内で、利率は1・1~1・4%。保証料率は0・79%。申し込みの受付期間は「国の指定に対応した期間」とする。融資額は174億円を見込む。

河村たかし市長は3月、金融機関の関係者らに新型コロナの影響を受ける事業者への資金繰り支援を要請した。河村市長は「当市GRP(域内総生産)約13兆円の1~2割、約2兆円の経済損失が出ているとみられる。企業を倒産させないようにお願いしたい」と述べた。

要請内容は、①事業者の状況や資金繰りなどにきめ細かく把握した丁寧な経営相談②事業者を応援するため、本市制度融資などを積極的に活用した必要な資金の円滑供給③返済期間の延長や返済額の軽減などによる柔軟な条件変更への迅速かつ丁寧な対応―の3点。
企業を支援する立場の関係者が集まり、情報を共有する動きもある。愛知県は3月下旬、県公館で「金融懇談会」を開いた。新型コロナの感染拡大に伴う中小企業支援について、県内の金融機関代表者らが報告した。

名古屋銀行協会の中村昭彦会長(三菱UFJ銀行副頭取)は「当初、ホテルや旅行などサービス業の売り上げ減の相談が多かったが、現状ではあらゆる業種に影響が拡大している」と話し、支援強化に取り組んでいく姿勢を示した。

愛知県信用金庫協会の近藤実会長(西尾信用金庫理事長)は「4月以降、自動車関連など製造業からの相談が増えることが予想される」と強調。資金繰りだけでなく、雇用調整助成金や休業補償の相談にも対応していることを紹介した。

愛知県信用保証協会の小川悦雄理事長は、2月18日からの保証申し込みが5360件、1295億円あり、うち県の緊急つなぎ資金が3656件、727億円あったことを報告した。

自粛要請に企業が動く


国は2月下旬、小中高の休校を要請した。その後、外出の自粛を呼び掛ける自治体も増えた。これを受け、在宅勤務や、子どもと過ごす時間が増え、運動不足やストレスにつながりやすい環境になった。こうした社会課題を解決しようと、自社のサービスを無料で開放する企業も増えた。

ブラザー工業子会社でカラオケ事業を展開するエクシング(名古屋市)は、音楽に合わせて体を動かすことで健康づくりに役立つ映像コンテンツの無料公開を始めた。

映像エクササイズコンテンツ「ジョイビート」と、音楽療養コンテンツ「健康王国」の2種類から44本を選べるよう、自社サイトの特設ページ内で公開している。健康王国のコンテンツ内のリズム遊びや手指体操などは、親や祖父母が幼い子どもとコミュニケーションを深めることに役立つ。

手帳メーカーの伊藤手帳(名古屋市東区)は、親子で楽しめる手帳用シール画像の無料提供を始めた。小学校などの休校により、手帳の予定が空白になった利用者らに提案している。

運営する同社の通信販売サイト「ユメキロック」で、シール画像のダウンロードページを公開した。利用者は、画像を家庭用プリンターで印刷し、はさみなどで切り取り、手帳やノート、カレンダーに貼る。

シール用画像には、子どもが好むハートなどのマークに加え、やるべき事を書き込めるデザインなども用意した。「シールを貼りながら、やるべき事ややりたい事を考える習慣を身につけていただきたい」(伊藤亮仁社長)との願いを込めた。

同社の自社ブランド手帳は小中高の子どもを持つ保護者が多く利用している。国が休校を要請し、手帳に書く予定がなくなったという利用者の声を踏まえ、手帳を楽しく使ってもらうために企画した。

システム開発を手掛ける日本インフォメーション(名古屋市千種区)は3月、同社のアイパッド・ウェブ用会議システムの全機能を無料開放した。共同のメモ機能を利用することで、参加者全員が同じ資料にメモをつけることが可能。新型コロナの影響で増加する在宅勤務者や遠隔地との会議を支援する狙いだ。

深刻なマスク不足に対応した動きもあった。製造業などから材料分析を受託するユニケミー(名古屋市熱田区)は3月、同社北館で簡易マスクや消毒時のふきとりに使用できるペーパータオルを無料配布した。

提供したのは、検査機関向けのペーパータオル「ラボタオル」。ラボタオルをはさみで切り取り、蛇腹折りにして、輪ゴムをホチキスでとめるとマスクに変身する。濱地清市社長は「非常に反響が大きかった。少しは社会に貢献できたと思う」と話す。

ICTで変わる働き方


今回のコロナ問題は、企業活動や働き方を変えるきっかけになる。ウェブを活用した商談や採用、セミナー、在宅勤務がその一例だ。

セミナーなどを開催するSTORY(ストーリー、名古屋市)は3月中旬、名古屋市内で中小企業向けにオンライン会社説明会の無料体験会を開催した。

新型コロナの感染拡大に伴い、大規模な合同企業説明会が相次ぎ中止になった。学生にアピールする機会を失った中小企業向けに、オンライン上の企業説明会の開催方法を指南した。
体験会は通信アプリ「ZOOM(ズーム)」を使い、金沢や静岡などの4社が参加した。実際に顔を合わせることがないため、表情や動作を大きくするなどオンライン上でのやり取りの注意点を伝授した。

参加企業の担当者からは「最初は慣れずに緊張したが、カメラ目線や話し方のポイントがつかめた」と手応えをつかんだ様子。

ストーリーの松下公子社長は「オンライン説明会の経験がなくても、練習をすることでクオリティーを高めることができる」と話していた。イベント自粛が長期化する中、同社は4月20日にも同様の体験会を予定している。

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