「論説」 円安が自然なトレンド 地方経済の再生に効果

更新日:2013年 2月 1日 (金)

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 安倍政権誕生後の円安は専門家のアナリストの予想を超えるスピードで進行した。各シンクタンクは年末、年初に今年の為替予想を発表したが、このスピードで円安を予想した機関はなかった。また、弊紙は1月3日付で中部企業を対象にしたアンケート調査の結果を掲載している。それによると、中部企業の74・5%が3月末の円相場を対ドルで80―85円と予想しており、ここまで急激な円安を予測する企業はほとんどなかった。
 一大イベントであった日銀政策決定会合(1月21、22日)の終了後は「噂で買い、事実で売れ」の相場の格言通り一旦は円高方向に振れ、その後の調整スピードが緩やかになった。しかし、年明け後の円高調整は専門家も予想外のスピードで動いてきた。投資家の円売りで円安傾向が始まったものの、トレンドの本格転換を確認し、企業の実需や個人の外貨購入が加わり、円安傾向に拍車がかかったのだろう。
 気になることがある。「円安になると、石油や天然ガスのエネルギー価格、輸入製品の価格が上がり、生活面に影響がある」と、ステレオタイプ的なテレビ報道などが目立つ。
 円安はまだ不十分な水準ではないか。東京は円高が好ましくても、地方は円安を歓迎する。消費地の東京は輸入製品が高くなると困るが、地方は地道にモノを造っており、円高よりも円安のメリットが大きい。
 内閣官房参与の浜田宏一エール大学名誉教授は「1ドル100円程度がよいのではないか」と発言している。適正な円相場の水準はどの辺りにあるのか難しい。大手企業は円高対策を進め、工場の海外移転を図り、円安は海外工場からの製品輸入コストの増加などにつながる側面もある。
 しかし、円高対策を行った企業だけが生き延びるのではなく、各地の地域経済が息を吹き返し、雇用機会が増える水準にまで戻したい。特に、中部は輸出型産業が主要産業であり、これまでの円高により痛手をこうむってきた。
 2012年の貿易収支は6兆9273億円の過去最大の赤字額となった。「日本政府による強引な円安誘導」と海外から批判が強まっているが、円安傾向は政府の政策の成果と言うより、産業の空洞化が進み、わが国の基盤が弱体化した結果だ。超円高が限界点に達しているところに、安倍政権誕生が本来の水準に戻るきっかけをつくったのではないか。
 円安傾向は自然な流れであり、もう一段の円安を望みたい。

 
 
 

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