「論説」 トヨタ好決算の示すもの 品質、価格の維持が至上課題

更新日:2012年 11月 7日 (水)

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 上場企業の9月中間決算の発表が佳境を迎えている。5日にはトヨタ自動車が注目の決算発表を行い、営業利益は6937億円と前年同期の赤字から黒字転換。今3月期見通しも1兆500億円に上方修正した。日中関係の悪化を織り込んでも、北米の好調で業績を維持できる見通しで、大幅赤字に沈む家電大手とはまさに対照的だ。
 これまで発表された9月中間決算は、シャープやパナソニックの大幅赤字、原発停止で火力発電費用がかさんだ電力会社の赤字など暗いニュースが目立った。半面、自動車などの輸送用機器は、エコカー補助の追い風で販売を伸ばし増収増益となり、明暗が分かれていた。
 頼みの自動車も、9月以降の中国での販売の落ち込みが懸念されていたが、トヨタの決算を見る限り米国の販売好調が下支えとなりそうで、まずはホッとしたところか。
 その米国経済はこのところ好調な指標が相次いでいる。10月の新車販売は前年に比べ6・9%増の109万台となり、日本車の販売も伸び率は低下したが好調を持続した。また10月の雇用統計も予想を上回る改善となり、為替市場でドル買いが進行した。欧州経済がいぜん揺れ動いている中で、米国経済の安定化は至上課題だ。
 新興国も大切だが、米国で利幅の多い高級車が売れれば、自動車メーカーの収益に着実にプラスとなる。トヨタの中間決算も売り上げの伸びに比べて利益の伸びが大きいのは、その表れだろう。家電業界が液晶テレビの値崩れに苦しんでいるを見るにつけ、価格を保つことがいかに重要かわかる。
 ただ将来を見通せば、韓国の現代自動車が確実に競争力を強化しており、安閑とはしていられない。韓国の家電企業が本当に競争力を付け出したのは、10年足らず前から。自動車と家電では部品点数も異なり、わが国の自動車業界がその轍を踏むとは思わないが、気を引き締めて品質のさらなる向上を目指さなければいけない。
 その点、最近の大量のリコールは気になる。部品の共通化を進めれば進めるほど、一つの部品の不具合が重大な損失を招く。ものづくりに完璧はないが、少しでも完璧に近づけるよう努力しなければならない。また技術者を大切にし、不用意なリストラによって貴重な技術が競争相手に流出させないことも大切だ。わが国固有の大切な技術がいとも簡単に海外に流出したことが、現在の家電業界の苦境を招いたとの見方もある。
 今回のトヨタの決算は、様々なことを示唆している。中部の産業界が進むべき指針が、そこから明確に読み取れる。

 
 
 

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