TPP参加による影響 中部の各分野でも様々な見方

更新日:2012年 1月 6日 (金)

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 TPPをめぐり論争が続いている。TPPは環太平洋地域の経済統合にとどまらず、アジア、太平洋地域にまたがるFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)への一里塚としての位置付けがある。「アジア地域の経済統合を促進し、その活力を国内の振興に生かす」という理念に反対する人は少ないだろう。しかし、その理念を実現する手順としてTPPが本当に有効なのか、参加による各分野のプラス効果とマイナス効果の実際はどうなのかなど、激しい論争に割には不明瞭なことが多い。
 TPPについて、中部の各分野でも様々な見方が現場から出ている。例えば、焦点の農業について、愛知県農業協同組合中央会はTPP参加により県内農業生産額は902億円減少すると予想している。県内の全農業生産額は3000億円弱なので、3分の1がなくなることになる。愛知県産のコメ、乳製品は価格競争力がなく、甚大な影響を受けるとの予想だ。
 ただ、農林水産省は全国の農業生産額が半減すると予測しており、全国平均より影響は少ない。さらに、愛知県が得意とする野菜や花などは商品性の高く、アジア各地にマーケットが広がることで、農業生産額はいずれ回復するとの見方が中部経済界にはある。
 しかし、地元の農業団体に意見を聞くと、こうした見方を「単純過ぎる」と批判する。愛知産米はブランド力が弱いうえ、経営規模の拡大も難しい。農家の米づくりは自家用に限られるようになり、耕作放棄地が急増。その結果、各地で荒れ地が広がり、農業用水の維持もできなくなり、景観が一変、地域社会が崩れ出すという。
 日本人が好むジャポニカ米は米国産に少なく、実際に外国産米に置き換わるかどうかわからないとの見方もある。しかし、地元の農業団体はコメづくりの大幅減少につながる予測したうえで、「コメづくりの大幅減少は社会の変容につながるだけでなく、農地を持たない都市住民は餓えを覚悟しなければならない」と指摘する。
 一方、医療分野では混合診療の解禁を迫られる恐れがあると懸念されている。解禁されると、我が国の健康保険制度が崩れ、低所得者の健康が守られないという。
 しかし、こちらも別の話が聞こえてくる。例えば、TPP参加で新薬の認可が米国並みに短縮されることが予想されるという。難病に苦しむ人には朗報だ。また、「ブランド力のある海外大手ジェネリック薬品メーカーが参入してくれば、ジェネリック医薬品が一挙に広がり、医療の改善につながる」という見方もある。プラス効果を期待する地元の医療関係者もいる。
 TPP参加で何がどう変わるのか。中部の各分野でも様々な予測がある。国はもっと踏み込んで説明しなければならない。

 
 
 

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