「論説」広域ブロック化に対応した戦略を EUの歴史的実験を他山の石に

更新日:2011年 12月16日 (金)

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 歴史的な実験の動向に世界中が注目している。EUのことである。欧州統合という長年の夢の実現を目指した壮大な実験であったが、財政問題をはじめ綻びが見え始めている。グローバル化の進行のなかで、世界各地がEUと同様に広域ブロック化する動きがある。アジアでも部品のサプライチェーンが国境を越えて形成されているように、東アジア経済圏の各国は相互に依存するようになった。国内でも道州制など広域化の動きが強まっている。EUの動向は世界経済の先行きを左右する懸念材料となっているが、それだけでなく、東アジア経済圏を考えるうえで他山の石として参考にしたい。
 欧州統合の理念は古くさかのぼるが、グローバル化の進行の中で、EUは米国に競争できるまとまりとしての意味合いが強まっていた。共通通貨・ユーロをつくり、域内の為替変動リスクをなくすとともに、米ドルと並ぶ国際基軸通貨に育てることを目指してきた。
 しかし、欧州統合の理念に反し、中心部と周辺部の格差は広がり、EUのまとまりを維持することが難しくなっている。ドイツ、フランス、ベネルクスを中心部に、イタリア、スペインなどが中心部を取り巻き、周辺部にギリシャや東欧諸国などが位置している。中心部は一段と発展したが、周辺部の混迷は深まった。
 一つの市場となったが、結果として中心部ほど統合のメリットが大きかった。欧州統合の理念とは逆に、EU内地域間の感情対立は激しくなっている。
 まるで高度成長期の日本国内を見るようだ。国内の交通網が整備され、物資の行き来がスムーズになり、歴史上初めて日本は一つのまとまりとなったが、ストローで吸い上げるように人と富が東京に集まった。中心部への集中は止まることなく、地方は疲弊し各地で限界集落が現れている。EUでは中心部(ドイツなど)が周辺部(ギリシャなど)の援助を求められているが、東京で集まった税金を地方に分ける構図と同じだ。
 環太平洋地域、東アジアなど世界各地でのブロックごとにまとまる動きが強まっている。グローバル化による競争激化の中で、近隣地域との結び付きを図り競争力の強化を図っていると言える。
 広域ブロック化において、我が国はドイツのような立ち位置を確保できるのか。中国と比べ、経済成長の勢いに欠ける。結節性を高めるうえで不可欠な国際港湾や国際空港の整備も遅れをとっている。
 広域ブロック化が進展に対応して、中部の戦略を詰めていきたい。

 
 
 

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