「論説」広がる産業空洞化懸念 まず若い人の雇用不安解消を

更新日:2011年 9月20日 (火)

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 円高によって、輸出産業や関連する中小製造業が悲鳴を上げ、このままでは国内産業が衰退して、厳しい雇用環境がさらに悪化していく―というように、産業空洞化への懸念が広まっている。
 諸外国に比べて法人税は高く、人件費も高く、加えてこのような円高が続くのであれば、もはや海外へ出て行かざるを得ないというわけだ。
 しかし、円高の原因とされているのは、米ドルや欧州ユーロへの不信感の高まり。金融緩和を続けても景気は回復せず、財政も危機的状況にあるという欧米の現状は、日本の努力でどうこうできるものではない。
 日本に原因があるとすれば、幾度となく円高の危機に遭遇しながらも、これを克服し、貿易黒字を続けてきたこと。このような国は、国際経済が不安定化するたびに、通貨高の危機を覚悟しなければならなくなる。
 円高が回避できないのであれば、現実を受け入れるしかなく、回避できない問題で悩み続けるのは愚痴でしかない。
 愚痴を言わず、直面する問題を常に前向きにとらえようとする人たちは、円高だから産業が空洞化するのではないと指摘する。
 すでに消費市場が成熟化した日本国内よりも、中国が内需振興へ政策転換したように、アジアを中心とする海外に、これから大きく伸びていこうとしている消費市場がある。
 これをビジネスチャンスととらえるならば、国内で製品の多くを製造し続けることには無理が生じる。
 消費地に近い所へ進出し、現地ニーズを掌握して、これに応えることのできる商品を開発し、消費地に近い所で生産する。この選択ほうが、筋が通っているからだ。
 このような目的で、輸出企業が新興国への工場進出を加速していけば、輸出企業は新たな成長の道を歩み始め、国内の産業は空洞化する。
 このぽっかりあいた空洞を埋めるには、新たな国内産業を創出するとともに、国内消費を活性化していかなければならない。
 人口が減少し、高齢化が進む日本において、消費を活性化するには、若い人たちの雇用不安を解消することが何よりも大切。
 これから日本の労働人口が減少していくということで、高齢者雇用が重視されているが、このことが若い人たちの雇用不安の原因のひとつになっているとすれば、正に本末転倒。高齢者もそのようなことは望んではいない。
 消費は、高齢者よりも若い人たちや若い家庭のほうが旺盛。しかも、若い人たちの雇用不安が解消できれば、人口減少に歯止めがかかる可能性もある。

 
 
 

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