「論説」地球温暖化と都市改造 内需転換推進の柱のひとつに

更新日:2010年 9月10日 (金)

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 猛暑日の続く中、地下鉄藤が丘駅以東のある企業で、事業グループづくりの集まりがあった。会場へはバス利用の案内があったが、インターネットで調べてみると、リニモ駅から徒歩12分と分かった。
 愛・地球博を思い出し、豊かな自然を連想し、運行時刻も安定しているので、リニモ駅から歩くことにした。だが、駅の外は熱射の降り注ぐ住宅地で、街路樹はなく、体感のみならず視覚的にも過酷な歩行を強いられた。
 都心部なら冷房の効いたビルや店舗、地下街に避難できるが、住宅地には避難場所がなく、年を追うごとに猛暑が加速していくと、高齢者の歩行には危険な地帯へ変貌していく不安を感じた。
 以前の名古屋と周辺地域は白い街と言われ、道路は広いが緑のない街として知られていた。変革が始まったのは平成元年の世界デザイン博からで、街並みが再整備され、街路樹が増え、美しい街と評価されるまでになった。
 だが、リニモ沿線地域の様子からすると、緑化が進んでいるのは都心部が中心で、高齢化社会では多くの生活時間を費やさざるを得ない住宅地のほとんどは、デザイン博以前の白い街のまま放置されているのではないか、との疑いを抱いた。
 しかも、ある程度の緑化対策がなされていても、猛暑が激しくなると、涼効果は薄れ、緑の不足感が高まって、防災対策を含めた新たな都市改造の必要性が高まってくる。
 もちろん、対応が求められるのは名古屋地区に限らないが、当地には、推進するうえで他地区にない優れた条件が備わっている。
 気温上昇の抑制や原因削減を推進するヒートアイランド対策の検討は、すでに長い歴史があり、さまざまな都市で計画され、名古屋地区では経済団体が提言をまとめたこともあったが、大きく進まないのが現状だ。
 原因のひとつは、高度に環境対策を施した都市の具体的イメージがつかめず、絵に描いたもちに過ぎない、と思う人が多いからではないだろうか。
 だが、この地域は愛・地球博でハイテク田園都市という壮大な環境実験を体験した。他地域からの来場は少なかったが、地域内の人は繰り返し訪れ、近未来のビジョンをたっぷり吸収した。この経験を環境先進都市実現へ活用しない手はないのだが、よく見かけるのは噴霧装置くらいに止まっている。
 推進母体の問題はあるが、目標を定めて動き出せば、新たな内需が生まれ、インフラ関連のみならず、ものづくり技術利用の内需転換が進み、外需依存から脱却して、円高におびえる心配もなくなる。猛暑下では炭酸同化作用が活発になり、緑化の生む恵みは大きい。

 
 
 

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