参院選後の選択について

更新日:2010年 7月13日 (火)

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 3年ぐらい前のことだったと思う。わが家の宗教が曹洞宗なので、祖先と対面してわが身を振り返るため、福井県にある大本山の永平寺を訪れた。
 もう少し若ければクルマで出かけたが、近くに良い温泉が多いので一泊することにし、そうなると、湯につかり、おいしい料理を食べてリラックスするのなら、帰路でハンドルを握るのは避けたく思い、鉄道を利用することにした。
 最寄の駅で降りてバスに乗り換えたが、料金は確か片道1000円くらい。高いと感じたが、こういうものなのか、と乗り込んだ。揺られているうちに、観光客専用ではなく、地元の人の生活の足でもあると分かり、都会との料金格差の大きさに驚いた。それは同時に、利便性や経済格差の大きさへの驚きでもあった。
 都市部から離れた土地で経済格差を実感した経験はほかにもあったが、これらを思い出したのは、参院選1人区で民主党が惨敗したとの選挙報道に接した時だった。選挙戦に関する論評は、都市部を中心ににぎやかに交わされるが、もっともらしい論評より、1人区の当選者数の数字自体のほうがはるかに重い真実に見えたのだ。
 一時は民主党に期待し、短期間のうちに失望を感じて自民党に票を投じる行動の背景には、グローバル競争の中で、どのように地域再生を実現すればいいのか、戸惑いと苦悩が渦巻いているように思えてならなかった。
 本来は次期衆院選の争点であるはずの消費税問題についての論戦の中で、消費者の所得層別不公平についての指摘が目立ったが、デフレ経済下では、消費税増税がそのような形で浸透していくとは、必ずしも思えない。
 すなわち、増税が実施されても、デフレ経済下の流通過程では、税込み価格を据え置く動きが出てくるため、実際には消費者の負担増は少なく、取引業者間で増税分を吸収するという圧力が働く可能性が高いのだ。
 地域再生に苦悩する1人区の事業者や、都市部でもグローバル対応の難しい業種業態の事業者は、そういう先行きまで敏感に連想してしまうので、消費税が次期衆院選の争点だと理解していても、方向性の定まらない言動に、嫌気がさしてしまった人も多かったのだろう。
 政局より政策との有権者の望みは遠のき、政権運営が一段と不安定化すれば、失われた年の経験が生かされることなく、混沌とした状態がさらに続くのを覚悟しなければならないが、経済人とは本来、政治に支えられて行動する人のことではなく、むしろ制約を振り払い、自立した活動を自由に推し進めていく人のことなのだ。

 
 
 

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