「論説」財政再建か景気対策か・新産業による雇用創出が機軸

更新日:2010年 6月29日 (火)

Twitter Facebook LINE Linkedin
 

 世界経済が混乱する状況下では、カナダ・サミットで何が話されているのか、やはり気になるが、財政再建か景気対策かという論議を目にすると、だれもが連想するのは、日本の失われた20年で振り子のように揺れ動いた二者択一を迫る論議ではないだろうか。
 結局、振り子が揺れただけで、財政は再建が進むどころか悪化し、経済もいまだに安定した回復軌道に乗る見通しにない。
 G8では、欧州が財政再建、米国が景気対策を主張。菅直人首相は、わが意を得たりとばかりに「第3の道」について語ったとされるが、菅首相の主張は財政再建か景気対策かのジレンマに対する選択ではなく、経済成長路線の選択の問題ではなかっただろうか。
 「第1の道」は公共事業を経済成長の原動力とするもので、効果が薄れたのみならず、財政赤字拡大の元凶になっている。「第2の道」は官から民への構造改革で、市場が飽和状態にある従来型産業は競争が激しく、常に経営の効率化に迫られるので、経済環境が悪化すると多くの失業者を生んでしまう。
 そこで、環境、医療・介護など、新産業の創出により新たな雇用を生み出そうというのが「第3の道」。これによって経済成長を図り、税収増で財政再建に結びつけようというものだ。
97 となれば、G8での菅首相は、財政再建を優先させたい欧州ではなく、経済成長を優先させたい米国に近い立場にいたわけで、第3のポジションに立つとの見方は少し違うように思うのだ。
 「第3の道」については、首相の知恵袋と言われる大阪大学の小野善康教授がテレビ出演し、手品の種を明かすようにマクロ経済の仕組みを語ったが、スタジオには、話のおもしろさがむしろ理解を妨げる要因になるかのような雰囲気が漂い、共演のエコノミストから「介護分野の雇用創出が本当に経済成長に結びつくのか」との質問まで出た。
 しかし、私たちは、新産業が新たな雇用を生み、経済成長を促した経験を持つ。典型的なのが、昭和40年代からの流通ビジネスの台頭だ。
 当時は「自ら生産せず、モノを右から左へ動かすだけの産業が発達して、経済成長につながるのか」との批判や懐疑論があった。
 しかし、製造業の空洞化で失われた雇用の受け皿役を担ったのみならず、中間販売業者に過ぎなかった問屋業を近代物流産業に変身させ、ものづくり産業に新たな資機材開発の機会を提供するなど、多くの波及効果をもたらした。同様に、介護のみならず新たな産業・雇用の創出は、これを機軸にした経済効果を生み出すはずである。

 
 

2010年 6月29日の記事一覧

ニュースカレンダー

読み込み中...

過去の記事はこちらのページからご覧ください。

カテゴリー一覧

新聞の記事などについてのお問い合わせは、以下までお電話下さい。
中部経済新聞社 編集部
TEL : 052-561-5212

皆様の生の声をお聞かせ下さい。
記事に対する意見・ニュース提供

 

現在の位置:ホーム > ニュース > 2010年6月 > 29日 > 「論説」財政再建か景気対策か・...