「論説」実質GDP3期連続プラス 緊縮財政転換は時期尚早

更新日:2010年 2月16日 (火)

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 景気回復の実感は乏しいものの、実質GDPの動きを見ると、景気2番底の懸念は薄らいだ。
 内閣府が15日発表した2009年10~12月期の国内総生産(GDP)の速報値は、実質で前期(7~9月)比1・1%増、年率換算で4・6%増になった。3四半期連続のプラス成長となり、景気の底打ちは確認された形だが、それでも09年のGDP成長率は前年比5・0%減と戦後最悪。世界的な金融危機の傷跡の大きさを物語る。
 10~12月期は中国向け輸出の増加や、エコポイントなどの経済対策に支えられて、個人消費が微増した。もっとも、長引くデフレを背景に賃金は減り続け、完全失業率も高水準にあり、個人消費がこの先維持できる保障はない。
 前回の景気回復時も、企業収益は顕著な回復をみせたが、雇用者所得はパッとせず、格差の拡大を引き起こした。特に若年層に非正規雇用が拡大し、世代間格差の広がりが問題視された。そのため、若者の消費離れを引き起こし、わが国の経済が外需依存体質となり、リーマン・ショックで先進国最大級の景気後退につながったのは記憶に新しい。
 今年1~3月期以降については未だ不透明だ。国内はいぜん内需が回復せず、頼みの中国も金融引き締め措置などの影響で、いつまで高成長を続けられるか疑問だ。また、中部地域においてはトヨタ自動車のリコール問題に伴う影響が、どの程度波及するか、慎重に見極める必要がある。
 いずれにせよ、ギリシャの金融不安を抱えた欧州地域などに比べると、わが国の景気回復のテンポは速いことは確かだ。その多くが、中国向け輸出が政策効果に負うことは確かで、自律的な回復とはいいがたい。また景気対策が先行したため、財政赤字は史上空前に達し、早晩この縮小を迫られることは避けがたい。しかし景気回復はまだ緒についたばかりであり、今の段階で緊縮財政に転じるのは時期尚早だろう。かつて、消費税を5%引き上げたのをきっかけに、長期不況に逆戻りし、財政再建がかえって遠のいたという苦い経験がある。アクセルとブレーキを同時に踏むような愚は避けなければならない。

 
 

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