論説 スズキ・VW提携の波紋

更新日:2009年 12月11日 (金)

 スズキとドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の資本業務提携は、世界的な自動車業界の激変ぶりを改めて世界に示した。今回の提携の主眼は、環境技術の共同開発や部品の共通化で、VWが2224億円でスズキ株の19・9%を来年1月に取得し、スズキもVWの出資額の2分の1を限度にVW株を取得する。
 今年1~9月の両社の世界販売は合計約649万台で、トヨタの約564万台を上回り世界最大級の自動車グループの誕生となる見通しだ。新興国での販売協力や、電気自動車・ハイブリッド車などの環境技術を共同で開発を進める。
 スズキは米ゼネラル・モーターズ(GM)と提携していたが、GMの経営悪化で昨秋、資本提携を解消。今年6月のGM破綻以降はさらに関係が希薄となり、環境対応車の開発も凍結。提携関係は終止符が打たれていた。環境技術車の開発には莫大なコストがかかるため、VWとの提携はスズキにとって有力な「後ろ盾」になる。VWにとっても、中国に次いで大きな成長力が見込まれるインド市場でのスズキの販売力は魅力だ。
 環境技術車の分野ではハイブリッド車でトヨタが世界に先行。ハイブリッド車で出遅れた日産自動車も、電気自動車の本格的な量産を準備、巻き返しに躍起だ。世界最大の市場となる中国では、VWが先行しているが、トヨタも10年に中国での販売店網を650店に引き上げ、潜在需要を掘り起こす。先進国での需要が頭打ちになる中、環境技術車と新興国市場が、今後の自動車メーカーの死命を決する分野となろう。
 スズキの鈴木修会長兼社長は、「VWとは対等のパートナー」と語った。環境技術車の開発には、大容量のリチウムイオン2次電池、半導体材料SiC(シリコンカーバイド)など要素技術の開発が必要だ。それらを全て1社でまかなうのは難しく、産学連携による共同開発や、事業提携によるコスト抑制が欠かせない。スズキは後者の道を選んだ。
 今後は大手グループ間同士の技術開発競争が、これまでより激化することだろう。その競争に敗れれば、GMの二の舞になりかねない。そんな厳しい時代に入った。

 

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