デフレ宣言と事業仕分け・ムダと投資の混同は危険

更新日:2009年 11月24日 (火)

Twitter Facebook LINE Linkedin
 

 景気の回復が思わしくない中、政府が11月の月例経済報告で、日本経済は「緩やかなデフレ状況にある」と「宣言」したことで、国の政策もデフレ脱却に重点が置かれそうだ。
 持続的な物価下落が企業収益を悪化させ、賃下げや失業増を招く「デフレスパイラル」はわが国が2001年から06年まで経験したばかり。最近の経済指標をみても、名目成長率が実質成長率を2四半期連続で下回っており、政府のデフレ認識はむしろ遅かったと言えよう。
 菅直人副総理は「デフレから脱却する方向性を見出す」として、追加経済対策の取りまとめに全力を上げるとともに、日銀に対して金融緩和の維持を要求した。これから年末にかけ企業の資金需要が集中する時期だけに、流動性を確保するためにあらゆる手を打ってほしい。
 そんな中、政府の行政刷新会議による「事業仕分け」が佳境を迎えた。これまでのワーキンググループによる第一弾の仕分け作業を受けて、検証作業に入る。予算の作成作業に透明性が確保され、国民の目には新鮮に映っているようだが、事業の効率性を求めるあまり、性急さも目に付く。科学技術関連の予算など、国の将来の競争力を左右する分野も、削減の対象にされているが、効率性を優先させ安易に削減するのは、将来に禍根を残すのではないか。わが国は基礎研究の分野では、まだ欧米諸国に対し十分ではなく、ノーベル賞の受賞者も少ない。まだまだ国の果たす役割は多い。
 象徴的な例が、文部科学省が進める次世代スーパーコンピューターをめぐる動き。事業仕分けでは「国民生活にどう結びつくのか」などの意見が出て、10年度の開発事業費(要求額267億円)について「凍結」が求められていた。しかしスパコンは国の基幹技術としてなくてはならない分野。菅直人氏もスパコン開発予算に対し、「政策判断は政治的に行い、科学技術分野は見直すことになろう」と、要求維持に理解を見せた。
 事業仕分けの意義は理解しつつも、闇雲に削減ありきでは、デフレ経済に拍車をかけることになりかねない。本当の「ムダ」と将来に向けての投資を混同しないよう、きっちり仕分けをしてほしいものだ。

 
 
 

2009年 11月24日の記事一覧

ニュースカレンダー

読み込み中...

過去の記事はこちらのページからご覧ください。

カテゴリー一覧

新聞の記事などについてのお問い合わせは、以下までお電話下さい。
中部経済新聞社 編集部
TEL : 052-561-5212

皆様の生の声をお聞かせ下さい。
記事に対する意見・ニュース提供

 

現在の位置:ホーム > ニュース > 2009年11月 > 24日 > デフレ宣言と事業仕分け・ムダと...