論説 景況感改善は本物か

更新日:2009年 6月23日 (火)

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 100年に1度といわれた不況の底打ち観が鮮明になった。財務省と内閣府が発表した4~6月期の法人企業統計によると、大企業の景況判断指数(BSI)はマイナス・4と、前回の今年2月調査に比べ28・9ポイント改善した。在庫調整の進展で自動車など製造業の復調が大きかった。
 この回復は予想されていたとはいえ、大企業の景況が、比較可能な2004年4~6月以来で最大を示したことは、株式市場にも安心感を与えた。
 生産の回復が水面下ながら進展しているのは事実で、多くの企業で残業が復活している。中国向け液晶テレビなどの需要が回復。自動車も環境対応車の盛り上がりで生産増を後押しした。
 ただ、中堅企業のBSIはマイナス37・0、中小企業はマイナス49・0に止まった。いずれも回復はしているものの、大企業との隔たりは大きく、生産回復の恩恵が中小企業には十分及んでいないことを示した。
 7~9月以降も生産回復傾向は続き、景況感は改善の見通しだ。しかし、企業は既存従業員の残業の増加などで対処し、雇用の改善はまだはかばかしくない。夏のボーナスは大企業でも大幅減のところが多く、今後の個人消費に不安な影を投げかけている。
 中部地区の中小企業でも悪化ペースは緩やかになってきた。愛知中小企業同友会の5月末調査によると、業況判断指数(DI)は2月調査のマイナス56から改善して同50となった。製造業では自動車関連企業の回復が目立つものの、仕事量は前年の7割減から4割減に「回復」したに止まり、実態としては厳しいことには変わりはないようだ。
 景気に左右されにくい食品業界などでも、小売業での「価格破壊」が進行し、弁当や惣菜などが以前では考えられない値段で売られるようになった。消費者としては好ましいものの、半面、デフレの進行がまだ止まっていないことを意味する。
 現状の景気は底打ちは確認したものの、まだ、本格回復にはほど遠いようだ。在庫調整の進展で生産は戻りつつあるが、最終消費が盛り上がらないことには、いつ失速するかもしれない。まだ、そんな危うさを秘めている。

 
 

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