論説 リニア中央新幹線建設費を提示

更新日:2009年 6月19日 (金)

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 懸案のリニア中央新幹線3ルートの建設費が明らかになった。JR東海の試算によると首都圏―中京圏を結ぶ費用は、最短距離の南アルプスを貫通するルートが5兆1千億円。長野県が熱望する南アルプスを北へ迂回するルート「伊那谷ルート」は5兆7400億円で、工事費に大きな差がついた。
 所要時間は南アルプスルートが40分、伊那谷ルートは47分。費用や利便性の点で前者に軍配があがった形だ。
 沿線各都府県への報告を経て、ルート決めや駅の建設場所の調整が本格化するが、工事費を全額負担するJR東海にとって、南アルプスルートの優位性は動かない。他のルートを選択した場合は、工事費の差額をどこがどう負担するかの問題になりかねない。利用者にとっても、所要時間は少しでも短い方が好ましく、国民的な議論が必要となろう。
 完成時期は2025年。既存の東海道新幹線の設備が次第に老朽化し、代替手段の必要性から、遅らせるのは好ましくない。それ以上に、公共投資にも比肩できるような巨額なインフラ投資は、不況にあえぐ産業界にとっては魅力的で、景気に与える影響も大変大きい。
 しかし、やみくもに投資額を膨らませば良いわけではない。リニアの建設費は将来的には利用者の負担にかかってくる。想定を上回る過剰なコストがかかるようでは、利用者の納得を得られないのではないか。
 新型インフルエンザや不況の影響で、足元のJR東海の新幹線の利用客は低迷している。5月は前年比15%減、6月も前半は同16%減。不況による一時的な要因だとは思うが、新幹線需要の将来予測には不安も付きまとう。JR側としても、極力投資額は切り詰めたいはずだ。
 リニア中央新幹線はJR東海が建設するとはいえ、その影響度は1企業に止まらない。国の基幹的な交通網の一部を担うばかりでなく、経済にも影響を与えるほどの存在だ。長野県の「地域振興の観点から議論する必要がある」との意見も分かるが、経費の問題をどうとらえているのだろうか。とにかく、すべての関係者が、真摯に、大所高所に立って、納得のいく結論を出してほしい。

 
 
 

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