論説=株価回復と銀行の財務安定化

更新日:2009年 6月16日 (火)

Twitter Facebook LINE Linkedin
 

 昨年のリーマン・ショック以来の株式市場低迷で、国内の主要金融機関は多額の含み損が発生していた。しかし、最近の株価急回復により、含み益に転じており、財務の安定化に寄与しそうだ。
 東京株式市場は12日に平均株価が1万円を超え、週明けの15日も反落はしたが1万円の大台は維持した。
 大和総研の試算によると、大手6銀行グループが保有する株の含み益は、12日現在で計1兆7500億円。3月末に比べると2兆1千億円余も好転したという。この間、アジアやニューヨーク市場でも株価は同時高となったが、株式を多く保有する日本の銀行にとっては、追い風となった。
 GMの破産申請などでゆれる米国の金融業界をしり目に、わが国の金融機関が相対的に健全とみられることは決して悪いことではない。資産内容が改善されれば貸出余力が上がり、経済の回復に寄与する。大学生の就職戦線でも、わが国の銀行の人気が復活したと言われている。まだ安心はできないが、3月決算で大幅な赤字を計上したこの地域の金融機関も、株価の回復にはほっとしていることだろう。
 ただ問題は残る。わが国の金融機関が依然として、株価の動きに一喜一憂しなければならない体質が変わっていないことだ。
 平均株価がこのままジリ高となり、年内に1万2千円に乗せるようであれば、不良債権処理など問題の多くは解決されることだろう。しかし、今後も株価が右肩上がりを続ける保証はない。
 原油の高騰や夏の一時金の減少は、わが国の個人消費にボディーブローのように悪影響を及ぼすだろう。中国など新興国はともかく、欧米の経済はまだ底を打ったとはいいがたい。先進国の中では、わが国の経済がいち早く回復するとみられている中、わが国や新興国が世界経済の機関車役を求められることもありうる。そんな時に、足元の金融機関の資産内容に不安があるようでは覚束ない。
 今からでも遅くない。わが国の金融機関は、株価の上げ下げに一喜一憂しなくても良いような、強固な資産基盤を構築すべきではないか。

 
 
 

2009年 6月16日の記事一覧

ニュースカレンダー

読み込み中...

過去の記事はこちらのページからご覧ください。

カテゴリー一覧

新聞の記事などについてのお問い合わせは、以下までお電話下さい。
中部経済新聞社 編集部
TEL : 052-561-5212

皆様の生の声をお聞かせ下さい。
記事に対する意見・ニュース提供

 

現在の位置:ホーム > ニュース > 2009年6月 > 16日 > 論説=株価回復と銀行の財務安定...