論説 電気自動車が発進へ

更新日:2009年 6月12日 (金)

Twitter Facebook LINE Linkedin
 

 本格実用化はまだ先だと思われていた電気自動車だが、ここにきて内外で実用化の動きが急速化してきた。
 三菱自動車が主力工場の水島製作所で電気自動車「アイ・ミーブ」の量産を開始、主に法人向けに7月から発売する。充電1回あたりの走行距離は160キロ、車両価格は国の補助金を差し引いて300万円弱。当初は年間2千台生産する計画だという。富士重工業も電気自動車「スバル プラグイン ステラ」を7月に法人向けに発売する。トヨタも2012年までには市場投入する構えだ。
 一方、破産法適用からの脱却とともに誕生する「新生」ゼネラル・モーターズ(GM)も、米国政府の支援を受けて、電気自動車の実用化に本腰を入れる見通しだ。環境対応車でトヨタなど日本のメーカーに出遅れたのが、経営破たんの一つの要因になった。
 ただ、電気自動車の普及には充電インフラ整備や、コストが安く、より高性能な電池の開発が不可欠。それらをふくめて莫大な時間と費用がかかるなど難題は多い。「アイ・ミーブ」も、国の補助がなければ本体価格は400万円超。走行距離も短く、長距離のドライブには向かないなど制約があり、今後の技術開発による性能向上が待たれる。
 コストを決める大きな要因はリチウムイオン電池。電池の開発技術は日本が優位にあるといわれるが、まだ高価だ。その一因は希少金属である白金を使用するため。また、電池以外も電力を制御するためパワーデバイスの小型・高性能化など克服すべき課題は多い。
 この点では、地元の名古屋大学をはじめ多くの大学・研究機関で研究開発の成果の蓄積がみられるのは心強い。電力制御用のパワーデバイスを小型化するための、新たな半導体材料の研究でも世界に先駆けた成果を上げており、これらが中部のものづくりを牽引する「キーデバイス」となることを期待したい。
 このところ曙光が見え始めた中部のものづくり産業だが、対前年比でみるとまだ水準は低い。ハイブリッド車に次いで、電気自動車でも中部の存在感が高められるよう、産学官あげての努力が必要ではないか。

 
 
 

2009年 6月12日の記事一覧

ニュースカレンダー

読み込み中...

過去の記事はこちらのページからご覧ください。

カテゴリー一覧

新聞の記事などについてのお問い合わせは、以下までお電話下さい。
中部経済新聞社 編集部
TEL : 052-561-5212

皆様の生の声をお聞かせ下さい。
記事に対する意見・ニュース提供

 

現在の位置:ホーム > ニュース > 2009年6月 > 12日 > 論説 電気自動車が発進へ...