論説 株価反騰と生産回復

更新日:2009年 6月 2日 (火)

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 週明けの東京株式市場は平均株価が155円高の9677円と今年の最高値を記録するなど、国内外で株価や国際商品の値上がりが目立っている。先週末のニューヨーク株高に加え、米ゼネラル・モーターズ(GM)の破産申請も、市場ではこれまでのモヤモヤが晴れ、米政府管理下による再建に期待できると前向きにとらえていた。
 また、このところ上げ足を速めている原油先物価格は、先週末のニューヨーク市場で7月物が1バレル=66ドル台をつけている。一時の安値に比べると倍近い水準だ。
 先進国の景気は、まだはっきり回復軌道に乗った訳ではない。鉱工業生産指数が底を打ったわが国でも、雇用や住宅着工の落ち込みが続いている。しかし、世界的に株価や商品市況が反騰しているのは、各国の景気対策や金融緩和による、一時的な「カネ余り現象」によるものと見る他はない。
 株価は実態経済を半年から1年先取りする、と言われている。今の株高は今年秋以降の景気回復を暗示していると、見ることもできる。
 このほど発表されたわが国の4月の鉱工業生産指数(速報)が前月比5・2%の上昇と、2カ月連続のプラスになり、5、6月もそれぞれ8・8%、2・7%増と予測されている。前年対比でみると4月は31・2%減に止まり水準はまだ低い。しかし、これまでの鋭角的な下落に歯止めがかかり、「V字型」の回復が見通せるようになった心理的な効果は大きい。
 4月は電子部品や化学工業などが、生産上昇に寄与した。5月はトヨタの生産回復により輸送機工業の寄与が大きいと予想されている。これを裏付けるように、一部の工場では残業が復活し、夏にかけて生産は持ち直しそうだ。
 生産が上向いたのは、薄型テレビの価格下落などの要因もあり、デフレ傾向が払拭したわけではない。しかし数量景気が価格景気に先行するのは世の習い。株価がそれを素直に読み込み始めたことを重視したい。
 むしろ懸念されるのは、目先の数字の好転に惑わされて、景気対策に切れ目が生じることだ。生産指数が反騰したといっても水準はまだ低く、景気対策のカンフル剤に支えられていることは論をまたない。

 
 
 

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