論説 緊急市場対策を急げ

更新日:2008年 10月28日 (火)

 急激な株価の下落を受けて、麻生太郎首相は緊急市場安定化対策をまとめるよう、中川昭一財務相兼金融担当相に指示した。空売り規制の強化や金融機関への公的資金投入枠の拡大、金融機関の自己資本比率規制の緩和など。東京株式市場がバブル後の最安値をあっさり更新し、なお底値がつかめない中、できることは何でもやろうということだろう。
 首相は「株価の下落が実体経済に非常に大きな影響を与えている」との認識を示している。
 金融機関の保有している株の評価損が膨らめば、貸し渋りや貸しはがしが強まり経済の足を引っ張るのは、バブル崩壊時に経験済み。欧米に比べれば不良資産が少ないと言われていたわが国の金融機関だが、急激な株価の下落で、資産の劣化が進みつつあり、一刻も早い対策が必要になってきた。
 金融機関に公的資金を注入する際に、必要となる政府保証枠を、十兆円に増やすことを検討。特に中小企業に対する金融円滑化を図ることは焦眉の急だ。
 空売り規制では情報開示を徹底させることを検討、ヘッジファンドなどの投機的動きをけん制する。十一月から実施する。今回の金融危機は米国発で、わが国の株価下落はニューヨーク株安や、それに伴うヘッジファンドの売りによるところが大きい。その対策は可及的速やかにやってほしい。
 一九九七年のアジア通貨危機も、ヘッジファンドの投機的な動きによって引き起こされたといわれている。これらを野放しにすることの弊害はかねてから指摘されていたが、実効的な対策はとられてこなかった。
 日本の金融システムそのものは、以前と異なり健全化されているが、市場の「暴走」による、想定外の値動きまで十分対応することは困難だろう。自己資本規制の緩和は平時なら好ましいことではないが、危機に際しては規制を杓子定規に適用し、貸し渋りを悪化させることをむしろ懸念する。
 いずれにしても今回の対策は、市場が落ち着くまでの「臨時・異例」なものといえよう。市場の混乱により実体経済が悪化、それがまた市場に跳ね返る「負の連鎖」だけは、何としても食い止めなければならない。

 
 

2008年 10月28日の記事一覧

ニュースカレンダー

読み込み中...

過去の記事はこちらのページからご覧ください。

カテゴリー一覧

新聞の記事などについてのお問い合わせは、以下までお電話下さい。
中部経済新聞社 編集部
TEL : 052-561-5212

皆様の生の声をお聞かせ下さい。
記事に対する意見・ニュース提供

 

現在の位置:ホーム > ニュース > 2008年10月 > 28日 > 論説 緊急市場対策を急げ...