2004年8月12日
UFJ統合交渉本格化

「三菱東京の環太平洋戦略を注視したい。地銀再編の可能性も十分ありえる」(東海地方の地銀頭取)。十一日、UFJホールディングスと三菱東京フィナンシャルグループの経営統合交渉をめぐる法廷闘争が、ほぼ決着、両グループの経営統合交渉が本格化する。三菱東京による事実上の救済合併は、東海地方の金融地図を塗り変える可能性も秘める。東海地方の地銀各行は地域密着の営業を継続しつつ、超メガバンクの地域戦略を固唾(かたず)をのんで見守っている。

三菱東京とUFJの経営統合が与える影響について、東海地方の地銀各行は、「地元中小企業重視は変えない」(加藤千麿名古屋銀行頭取)、「地域密着の営業を継続する」(土屋嶢大垣共立銀行頭取)と、従来の独自経営路線の継続を表明している。だが、心の底には東海地方の地銀再編を予感している節も見え隠れする。

今月八日、東海地方の地銀幹部は三井住友がUFJに申し入れた統合計画の報道に目を奪われた。統合後は首都圏、東海、関西の三本部体制を導入する―と記されていたからだ。

UFJの前身の一つ、東海銀行は東海地方で圧倒的な営業力と存在感を持っていた。地銀幹部は旧東海銀行と「東海本部」がダブり、「旧東海銀行の復活ならば脅威だ」と危機感をあらわにした。それは東海地方の経済界が、地元の銀行を優遇する現実の裏返しでもある。

今となっては蜃気楼(しんきろう)に近い計画だが、地銀が脅威と感じる戦略は、三菱東京主導の超メガバンクも当然、執ってくる。旧東海銀行出身のUFJ幹部は「UFJ誕生時には東海地方との距離感を間違えて失敗した。三菱東京はその点を踏まえ、東海地方になんらかの拠点を設けるのではないか」と冷静に分析する。

三菱東京は各県に一つずつ資本関係が深い地銀がある。東海地方では十六銀行、百五銀行、愛知銀行が親密地銀とされる。一方、UFJは中京銀行と岐阜銀行との間で、資本、人事ともに交流が極めて深い。

三菱東京とUFJは、来年十月に経営統合する方針で、地域戦略もそれまでに明確にする見込み。地銀が注視する超メガバンクの地域戦略は、三菱東京の親密地銀三行、UFJの持分法適用子銀行二行の合併再編まで踏み込む可能性がある。「重複する店舗網の統廃合こそ収益力強化の即効薬」(信用金庫理事長)との見方が金融界には根強くあるためだ。

対象の地銀は、超メガバンクの地域戦略が現時点では見えないため、慎重な言い回しに終始する。

愛知銀行の飯田紘三・経営企画担当常務は「地域銀行として自らの存在感を高めるよう努力したい」とし、百五銀行は「名古屋市や三河地方を重点的に開拓する経営方針に変わりはない」、岐阜銀行も「経営健全化計画の履行をしゅくしゅくと進める」と話す。

もっとも地域戦略を練るのはあくまで超メガバンク。ある地銀頭取は「三菱東京が十六銀行、百五銀行、愛知銀行に静岡銀行を加えた地銀の列、いうなれば環太平洋の金融地図においてどのような地域戦略、地銀再編を描くのか。全国の地銀大再編の引き金になるかもしれない」と大胆に予測する。

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