2004年7月15日
消えゆく旧東海銀行 UFJが三菱東京に支援要請

三菱東京がUFJを事実上吸収へ―。梅雨明け翌日の十四日、UFJグループのマザーマーケット、東海地方の経済界に激震が走った。三菱東京フィナンシャル・グループとUFJグループの統合。取引する企業は「この先、(取引は)どうなるのか」と不安を口にする。一方、「なぜ三菱東京と」、「なぜこの時期に」という疑問に対し、トヨタ自動車と三菱自動車の影もちらつく。また、中部地区の金融地図にも大きな変化が予想される。

統合先として三菱東京が挙がったのは、国内四メガバンクの中で比較的財務が健全で、唯一、UFJを救うだけの体力がある、という見方がある。いわゆる消去法だ。

メガバンクの一つであるUFJの経営に万が一のことがあれば、東海地方だけでなく日本経済、日本の金融システムが崩壊しかねない。金融行政による支援なども含めた条件闘争をした上で、三菱東京が不良債権に苦しむUFJを救う可能性は高いと見られる。

一方、東海地方経済界にはもう一つの「三菱」が課題としてある。三菱自動車岡崎工場の閉鎖だ。

三菱自動車は十三日、トヨタ自動車に対して従業員の受け入れと下請けメーカーの支援を打診したと発表した。トヨタ自動車は、この問題については、かねてから前向きに検討している。この「三菱」と三菱東京を関連させる見方がある。

トヨタの首脳は前々から、UFJの支援に前向きな発言を繰り返している。一方、検査忌避で刑事告発の可能性が残っているUFJに対して、トヨタが直接的な支援を行えば、株主の反発を買う可能性が残る。

東海地方の財界幹部は、「トヨタが三菱自動車を支援する。その見返りに三菱東京がUFJを救う。あるいは、その逆か。とにかくパワーバランスが働いたのではないか」と読む。十四日、来名した財務省の細井興一事務次官はこのパワーバランスについて「わかりません」と話したが、驚いた様子はなかった。

「なぜこの時期に」という点については、十一日投票の参院選で、金融行政のトップ、竹中平蔵氏が七十万票を集めて当選したことが遠因と見る向きがある。

 副総理経験者の一人は自叙伝で、「議員バッジを付けた大臣と、付けていない大臣では、実質的な権限、権力が格段に違う」と記している。

愛知県内のベテラン市議会議員の一人は言う。「UFJは今まで、竹中大臣を『しょせん民間大臣』と見て、なめていた節がある。それでも異例といえる四つの業務改善命令を受けた。そしてその大臣が議員バッジを付けた。議員バッジの威力は抜群だ。UFJはもう、白旗を上げるしかなかったのではないか」と推測する。

UFJは、業務改善命令に基づき業務改善計画の提出しなければならない。しかし大口融資先の再生、処理はいまだ出口が見えず、金融庁からの刑事告発の可能性も残る。増資など資本増強するにしても、大口融資先の二次損失の規模がわからなければ必要額は計算できず、できたとしても支援要請は社会通念上、難しい。八方ふさがりのお手上げとなり、三菱東京へ経営統合を申し入れた、と見ることができる。

今後はどうなるのか。UFJから三菱東京に経営統合を申し入れた以上、UFJは社名や本社所在地、トップ人事などで譲歩せざるを得ない。合併比率もUFJにとって厳しい内容になりそうだ。旧東海銀行は「跡形もなく消え去る」(東海地区企業経営者)可能性がある。

一方、東海地方の地銀・第二地銀に、今回の案件が波及する可能性は高い。東京三菱銀行と資本関係が深い百五銀行(三重県)、十六銀行(岐阜県)、UFJ銀行と資本関係が深い中京銀行、岐阜銀行。

「合併や再編で、一気に東海地方の金融地図が塗り替わるかもしれない」。金融関係筋の一人はつぶやいた。

きょうの紙面 20ページ

ホーム > 今日の一面 バックナンバー > 2004年7月15日