グランドタマコシ民事再生法申請で、東海の流通業界は弱肉強食へ

更新日:2004年 2月21日 (土)

愛知県尾張地方と岐阜県西濃地方を地盤に食品スーパーを11店舗展開しているグランドタマコシ(本社一宮市、玉腰昌孝社長)は、民事再生法適用を申請し 20日、経営破たんした。再生にはスポンサー企業が必要だが、これに岐阜県東濃・中濃地方を地盤とするバロー(田代正美社長)と滋賀県を地盤とする平和堂(夏原平和社長)の2社が名乗りを上げる異例の展開となった。両社とも業績好調で、尾張地方と西濃地方にあるタマコシの店舗網を虎視眈々(こしたんたん)と狙う。東海地方の流通業界は「優勝劣敗」から「弱肉強食」の時代に入った。

タマコシは20日が決算期末だった。03年2月期決算は表面上、資産超過だが、04年2月期決算は実質、債務超過になる可能性が高い。

名古屋市内で20日午前10時半、記者会見した玉腰社長は「当面の資金繰りには困らないが、中長期的な展望に基ずいてこのような決断(民事再生法適用申請)に至った。取引先には申し訳ない」と話し、約40分の会見中、3度、深々と頭を下げた。

時が重なる午前11時半。大阪市内で平和堂の夏原社長が記者会見を開き、「タマコシから支援要請を受けた。スポンサーとして名乗り出ることにした」と発表。さらに時が重なる正午、バローの川野篤之専務が名古屋証券取引所で記者会見し「支援要請は受けていないが、スポンサーとして支援を実施する用意がある」と話した。両社とも間髪入れず立候補を表明した形だ。

タマコシと平和堂は日本流通産業グループの仲間。両社長は懇意で、平和堂広報によると「1週間ほど前にタマコシ社長から自社の社長に『万一の時はたのむ』と非公式な打診があった」という。両社長が事前に水面下で準備をした形跡が伺われる。

一方、タマコシとバローは今まで、店舗譲渡などで協力し合った関係だが、それはあくまでビジネス上の話。バローは否定しているが、関係筋によるとタマコシとバローは事前に水面下でスポンサーについて話し合いを持ったが、条件面などで合意には至らなかったようだ。

バローとしては、納入業者がタマコシと重複が多いこと、さらに近隣に店舗を多数持つだけにタマコシ社員の配置転換においても融通性が高いこと―など利点を強調する。今後、タマコシは裁判所から選任された監督委員の下、スポンサーを決定するが、「条件面で監督委員が公平な判断をすれば、支援要請を受けていないという不利な立場でも勝算あり」と踏んでいる可能性が高い。

平和堂の03年2月期連結決算は、売上高3506億円、経常利益99億円で増収増益基調。今期も好決算が見込まれる。一方、バローの03年3月期連結決算は売上高1674億円、経常利益68億円と、負けずに増収増益で今期も好決算が見込まれる。業績好調で業容拡大傾向にある「勝ち組」2社が、民事再生法適用で債務圧縮などにより「身軽」になるタマコシの、店舗網を奪い合う構図が浮かび上がる。

さらに両社は、相手企業が尾張地方や西濃地方に基盤を持つと、将来的に自らの地盤を侵食されかねない、という不安を持っていることも推測に易しい。メンツと実利が正面からぶつかり合っている。

東海地方の流通業界では昨年から、鈴丹のユニー傘下入り、津松菱の産業再生機構支援、エイデンとギガスの経営統合、破談―など再編淘汰(とうた)が本格化した。しかしそれはあくまで、過去の経験則に当てはまる内容だった。

今年に入ってからは、異業種ながらソトーが外資系ファンドによる敵対的買収のターゲットにされ、タマコシは優良資産の奪い合いのターゲットにされた。優勝劣敗から弱肉強食へ。東海地方の流通業界、さらには経済全般で、資本主義の荒っぽさが目立ってきた

 
 

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