環境特集 企業の取り組み
ヤマダインフラテクノス
豊かな日本のために橋を守り続ける
高度経済成長期に整備され我が国の発展に大きく貢献してきた道路橋だが、近年では高齢化に伴う深刻な損傷が見受けられる。鋼製橋梁に目を向けると、鉄の最大の弱点と言える錆が進行し鋼材を腐食させ、また長年の繰り返しによる交通荷重が疲労として蓄積され鋼材にき裂を生じさせている。放置すれば落橋などの大災害につながる重大な損傷である。軽度な損傷のうちに手当を行い、寿命を延ばす必要がある。
腐食は錆と旧塗装と同時に取り除き、耐久性の高い塗装に塗替えることで予防が可能だ。しかし錆や塗装を剥すための従来工法は、研磨材の破砕による大量の産業廃棄物を発生させていた。ヤマダインフラテクノス㈱は、破砕せず循環再利用できる研磨材を使用し、産業廃棄物の発生を最小限に抑える「循環式エコクリーンブラスト工法」を開発し実績を重ねてきた。産業廃棄物を大幅に削減することは、その運搬や処理により排出される温室効果ガスの大幅削減にもつながる。この環境保全への貢献度が評価され、同社は、平成29年度愛知環境賞「優秀賞」・平成30年度環境省「環境大臣賞」に続き今年5月には、令和元年度土木学会「環境賞」を受賞している。
さらに同社はこの工法を応用し、研磨材をピーニング用投射材に置き替える事で、既設の鋼製橋梁の疲労強度を向上させ、き裂の発生を予防する「エコクリーンハイブリッド工法」も開発し実績を伸ばしている。環境に配慮した工法で日本の橋を守り続け、SDGsの推進に貢献していく。