あいち女性輝きカンパニー特集
働く女性の半数が非正規 コロナ禍で浮かび上がった雇用格差
経済回復も労働需給のミスマッチ改善されず
女性を取り巻く様々な課題が、新型コロナウイルス感染症拡大を機に浮き彫りになった。そのひとつが非正規雇用の不安定さだ。2019年1月以降の雇用者数の推移を見ると、非正規女性は、緊急事態宣言が発出された2020年4月、前月比で74万人減った。非正規男性の35万人減に比べて、2倍以上の落ち込みだ。飲食や宿泊、小売りといった女性の割合が高い業種が、営業時間短縮などのあおりを受けたことが響いた。経済が回復する中で再就職しようにも、労働市場は限られている。建設や医療、情報通信分野などの求人は堅調でも、スキルや希望が一致しないのが実情だ。
これまで女性の就業率は右肩上がりで、女性の就業率が子育て期に著しく下がるM字カーブが解消しつつあることを含めて、女性の活躍が進んだと喧伝されてきた。しかし、内情を見ると雇用者の半数以上は非正規が占める。2019年は56・4%で、男性22・3 %の2倍以上。コロナ禍による解雇や雇い止めにより離職を余儀なくされた人たちの数と照らし合わせると、雇用の調整弁として活用されていたことが切実な問題として見えてくる。
働き方改革が女性活躍の追い風に
女性活躍に関して明るい材料となるのは働き方改革だ。コロナ禍で図らずも働き方改革が進み、テレワークなど労働環境に対する意識も変わってきた。
伝統的な企業制度は、フルタイムで働ける男性を前提に作られたものが多く、その枠から外れると立場が非常に弱くなり、働き続けることが難しくなる。かつて女性は結婚を機に退職するのが慣例で、入社した時点でキャリアが決められ、配属や昇進などに大きく影響した。政府は、働き方改革を提唱する前の2003年に男女共同参画基本計画で「2020年までに指導的地位に女性が占める割合が少なくとも30%程度」という目標を掲げたが、昨年、達成が困難だとして目標の達成時期を先延ばし。帝国データバンクが今年公表した調査結果によると、女性管理職の割合は平均8・9%で、目標30%に遠く及ばない。もっとも「管理職になりたくない」と思っている女性が多いことの表れと捉えることもできる。しかし「夫は仕事、妻は家庭」という無意識の偏見によって、女性の意思決定を「管理職になりたくない」に追い込んでしまっている可能性がある。制度の再整備には、出産・育児という未来への尊い貢献を最優先事項に据えるぐらいの意識が必要だろう。
夫婦で家事や育児を協力しながら共働きを続けることができれば、女性は退職することなく経験を重ね、仕事を通じて成長が可能だ。人材の能力を最大限に活かすことができれば、女性管理職の増加のみならず、日本が経済発展する上での大きな原動力となるに違いない。