あいち女性輝きカンパニー特集
世界から見た日本の働く女性
ジェンダーギャップ先進国最下位
男女格差の是正は、世界の潮流だ。2015年に国連サミットで採択された世界共通のSDGs(持続可能な開発目標)では、2030年までに達成するべき目標のひとつに「ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児の能力強化を図る」ということを盛り込んでいる。
男女格差を示す指標として、よく知られるのが世界経済フォーラムが毎年発表する「ジェンダーギャップ指数」。政治・経済・教育・健康の4分野と総合から、男女格差の大きさを国別に比較している。直近で調査対象となった153カ国のうち日本は121位。前年の110位からさらに順位を下げた。先進国の中ではいつも最下位だ。OECD(経済協力開発機構)が発表している「(フルタイム労働者を対象にした)男女間の賃金格差」についても日本は23.5%と、加盟国平均13%を大きく上回る。
仕事と家庭の両立 負担に偏り
日本の格差問題の要因はいくつかあり、それらが複合的に絡み合っている。例えば仕事と家庭の両立がある。日本は、仕事と家庭のどちらかを選択しなければならない状況に置かれることが他国より多い。女性の社会進出が広がる中で、仕事と家庭の両立が難しいことは、出生率低下にもつながる。実際、合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子どもの平均数)は下がり続け、高齢化が進み、働き手となる生産年齢人口(15~64歳)は1995年をピークに減少に転じた。その状況を改善するためにも女性の雇用を増やすことが求められているわけだが、ことはそう単純ではない。「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」といった意識が根強く、家事や育児、介護の負担は依然、女性に偏っている。扶養控除など税制との兼ね合いもあるだろう。他国が女性議員の数を増やし、平等政策に腐心している間、日本は効果的な対策を打てないまま、世界から取り残されてしまった。掛け声をかけて自主的な取り組みに任せていても、女性が置かれた状況は大きく変わらない。
日本は、かつて粉骨砕身で働く企業戦士を美徳とする男性中心の社会で、「24時間戦えますか」という言葉が流行ったように、残業は当たり前、無理をしてでも上司やクライアントの要望に応えることが良いとされる風潮が長らくあった。しかし時代は変わり、多様で柔軟な働き方を選択できる社会に向けた取り組み、いわゆる働き方改革が進んでいる。女性が働きやすい社会を実現するには、労働環境を抜本的に見直し、企業自身も変わることが求められている。