「論説」 デフレ脳、脱却しよう 「谷深ければ山高し」

更新日:2013年 4月24日 (水)

 世界経済に陰りが見える中、先に行われた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、日銀の「異次元」の金融緩和にお墨付きが与えられた。急速な円高に対する新興国の懸念はあるものの、「日本の最近の政策は、デフレ脱却と内需の下支えを意図したもの」と声明要旨に盛り込まれた意義は大きい。
 今年の世界経済は、中国が減速気味でユーロ圏はマイナス成長が見込まれる中で、日本経済の再生に強い期待感がにじみ出ている。デフレ脱却が半ば「国際公約」となった。問題はそれをどのように実現させるかだ。
 日本経済の失速ぶりは各年の名目国内総生産(GDP)で比較すると、よりはっきりする。1997年に約523兆円のピークをつけた後、ほぼ右肩下がりで低落し、昨年は約476兆円にとどまっている。この間、金融危機やリーマン・ショック、東日本大震災などの大事件があったものの、15年もの間名目GDPが下がり続けたことは、戦後の先進国では例がない異常事態だ。
 長引くデフレ下で、若い人には成長経済がどのようなものか実感として伝わりにくくなっている。戦後の高度経済成長はすでに「歴史」となっているが、教育の場で戦後史がきちんと教えられていないため、その実像を知らない若者が多いのではないか。
 物心がついたころからデフレしか経験していない今の若者は、現在の経済状況が常態で必ずしも「不景気」だとはとらえていないようにみえる。収入は多くなくとも、みんながそのような状態だと格差は感じない。モノに対する執着も高くはなく、買い物もコストパフォーマンス重視。現状に漠然とした不安や不満はあるが、環境を変えようと自ら行動を起こすわけでもない。
 一方、企業経営者にとっても、コストの安い労働力がたやすく手に入り、今いる従業員をそれほど大切にしなくても、代わりはいくらでもいるという環境が長く続いた。給料は右肩下がりだが、グローバル化のもとではそれが当然だと思い込んでも仕方がない。
 そのような条件のもと、デフレ経済が20年近くも続いた。デフレ的なものの考え方が染みつくには十分な時間だ。
 しかし、アベノミクスを契機に環境条件は大きく変わった。日本に成長のエンジンを期待する国際的な声もあり、デフレ脱却は至上命題となった。国民に発想を「異次元」に転換させ、「明日は今日より良くなる」という期待を持たせることが、今の政治の課題ではないか。日本は過去20年間、デフレに陥ったが、そのことが逆に「谷深ければ山高し」という期待感を持たせる。今こそ「デフレ脳」から脱却したい。

 

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