「論説」 観光産業の振興へ ニーズ把握と需要平準化を

更新日:2013年 4月19日 (金)

 景気に明るさがみえ始め、今年のゴールデンウイークの人出が増えそうだ。国、地方を挙げた観光立国を目指す取り組みが続いているが、期待通りには成果が上がっていない。地域経済の空洞化懸念の中で、地域活性化に観光産業の役割は大きい。観光産業の振興へ、▽人口構成の変化などに対応し、ニーズにより応えた観光サービスにすること▽観光需要の平準化―といった課題に改めて取り組む必要がある。
 まず人口の年齢構成に伴い観光に求めるニーズが変化していることに注目したい。人生経験が豊かな年齢層が人口の中心となり、観光に求めるものは「非日常体験」から文化体験や心の落ち着きに比重が移ってきた。
 団塊の世代が引退し潜在的な観光需要は膨らんでいるが、過去と同じコンセプトの観光サービスが多いように思う。団塊の世代はいつの時代も消費の中核だが、若い時と同じものを求めてはいない。
 ニーズ把握で参考になるのは製造業の観光化の取り組みだ。例えば、陶磁器産地・瀬戸の窯元は各地のイベントに積極的に出店するようになっている。現在では、30程度の窯元が各地に出掛けて製品を対面販売しているが、来場者は「安さ」でなく、窯元との交流を楽しみながら瀬戸焼を買っていく。時代のニーズに対応した取り組みといえ、窯元の売り上げも十分にあるようだ。
 一方、観光需要は夏休みなど特定の期間に集中する。このため、観光施設や運送機関の平均稼働率は極めて悪い。設備投資はピーク時に合わせて行うため、宿泊料金や移動運賃が割高になる。繁閑の差が大きいため、パートなど非正規社員に頼り、労働条件も悪い。
 訪れる側は割高の料金を払って混みあう観光地を訪れる。このため、リピーターになかなか結び付かない。対策として、休日の分散化が議論されてきたが、製造業のサプライチェーンへの影響などが懸念され、機運は盛り上がっていない。休日の分散化は通勤ラッシュの緩和などのメリットもある。
 外国人観光客が少ないことなど、他にもさまざまな課題がある。我が国に訪れる観光客はフランスの十分の一程度にすぎない。中部が進める昇龍道プロジェクトが期待される。中国人観光客らを積極的に呼び込んでいきたい。
 国は観光産業を成長産業に位置付けている。自治体の取り組みも積極化している。次世代を支える産業の一つと位置付けて基盤づくりを推進しよう。

 

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