「論説」 陰り見えた中国経済 世界への影響大、軟着陸を

更新日:2013年 4月17日 (水)

 注目を集めていた中国の1~3月の実質国内総生産(GDP)は、前年同期比7・7%増となり、市場の事前予測、8%台を下回った。昨年10~12月期の7・9%より鈍化し、今後の中国経済の行方に不安感をもたらしている。
 欧州債務危機による輸出の鈍化や内需の低迷が続き、昨年の成長率は8%を割り込んだ。このため、習近平指導部は積極財政による景気回復策をとっていたが、実らなかった。
 中国国家統計局によると、1~3月は個人消費が昨年より鈍化し、工業生産も1桁の伸びにとどまった。もちろん先進国に比べると伸び率は高いが、同国の過去のトレンドからみると下ぶれしている。
 中国のGDPは2003年から5年連続で10%台の高成長を続け、10年には日本を上回って世界第2位の経済大国になった。日本の高度成長時代を彷彿させるが、さすがにこの水準までくると、かつてのような高成長は望めなくなるようだ。
 一方、1~3月の経済を下支えしたのは不動産開発投資。前年同期比20%も伸び、住宅市場の過熱化でバブルの様相を呈してきた。習近平指導部が都市化政策を推し進めたため、全国的に不動産開発が活発化している。不動産バブルを抑制するため、政府は住宅価格の抑制に向けて購入規制の強化を発表したが、駆け込み需要も発生しているようだ。日本のバブル期や高度成長末期と同じような現象が起こっている。
 急成長に伴うゆがみも表面化した。経済発展が進んでいる沿海部の都市部だけでなく、内陸部でも大気汚染が深刻化している。中国人民大学などの調査によると、国内で空気の質が悪い都市が9割近くに達しているという。健康への影響も深刻で、経済発展を優先させた結果、環境対策が後手に回っている。さらに水質汚染の深刻化も伝えられており、全国的に対策を急がないと、今後の経済発展に影響が出かねない。
 環境対策投資は直接的に生産を伸ばす訳ではなく、企業にとってはコストアップにつながる。そのため、これまでは後回しにされていた。今後、必要とされる環境対策費は予想がつかないが、経済を減速させる要因になるのは日本の経験から明らか。加えて現在感染が広がっている鳥インフルエンザ(H7N9型)の帰趨によっては、成長率が押し下げられる懸念もある。
 中国経済は難しい踊り場に差し掛かったといえよう。国内の格差を埋めるためには、引き続き高い経済成長が望まれるが、そのような条件は次第に失われつつある。しかし中国のモノに限った貿易総額は昨年、約380兆円と、世界最大の米国に肉薄した。欧州経済が持ち直せば、今年は世界最大の貿易国となる可能性があり、世界経済に与える影響は大きい。様々な問題を克服し、中国経済が安定成長に軟着陸することが肝要だ。

 

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