「論説」 牛丼値下げとアベノミクス 日米の削減、成長策は毒か薬か

更新日:2013年 4月12日 (金)

 お父さんはランチ代節約できると大喜び。吉野家が「牛丼並盛」を18日から100円値下げする。大手チェーンは先行して値下げキャンペーンを展開中で、安売り競争が激しくなっている。吉野家の場合は期間を設けていない。理由は米国産牛肉の輸入規制緩和で、安価な原材料が安定して調達できるようになった事から。一方で気になるのはアベノミクスは国内景気の回復、デフレ脱却ではなかったのか。値下げ幅も何十円という単位ではなく、一気に100円という大幅値下げ。経営環境に機敏に対応するには非正規雇用の問題も浮かび上がる。
 11日の東京株式市場は円安、ドル高を受けて続伸、取引時間中としては2008年7月以来、約4年9カ月ぶり一時、1万3500円に迫る高値水準となった。景気回復とデフレの進行、今のところアベノミクス効果は即効薬のようだが、生活面では実感はなく、デフレ脱却どころではない。
 劇薬ほど副作用はあるもの。日銀と政府が一体となった金融緩和は手応えあり、と評価は高い。日銀の黒田東彦総裁の豪腕ぶりに世界から賛否の声が上がっている。例えば革命、バズーカ砲などの言葉が使われている。米国の著名投資家は「日本が行っていることは極めて危険。円安が続きそうだと考えて海外に資金を移せば、円は雪崩のように下落する恐れがある」と語っていた。また、国内アナリストの意見でも、「日銀が金利を抑え込めずに高騰したら、国債は暴落して、国の信用はガタ落ちとなって、世界中で円が売られる。債券安、円安、株安のトリプル安となって財政破綻という最悪の事態となる可能性もあり得る」と悲観論もある。
 国債買い入れの高いリスク、日銀と政府の蜜月の関係に危うさを感じるという意見がマスメディアで語られる。しかしながら、今、動かなければならない。他に手段はあるのかと考えた時、これまでの政権では対策が打てなかった。こうした課題の繰り越しは日本に限った事ではない。米国オバマ大統領も「赤字削減と成長の両方を実現する」と強調する。2014会計年度の予算教書をこのほど発表したが、年金や医療など社会保障関係費の抑制を提案して、10年間で財政赤字を1兆8000億ドル(約178兆円)追加削減する考え。現地報道によると赤字削減額のうち7000億ドルを増税で、残りを国債の利払い減などで賄う。議会の意見としては「ふざけたプラン」、「社会保障減額には常に反対する」と手厳しい内容が出始めている。
 オバマ大統領は記者会見で「米国経済を再び勢いづける」と述べた。安倍首相のアベノミクス。日米、2つの歯車が噛み合わなければ日本の経済再生の解は導き出されないだろう。

 

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