「論説」 地域活性化に歴史遺産生かそう 大垣、春日井で先進的取り組み

更新日:2013年 3月15日 (金)

 地域の蓄積を積極的に活用することが競争力のある地域づくりにつながる。企業誘致など新たな要素を地域に投入することに加え、地域文化などを生かしていくこと。こうした地域資源の活用の一環として、東海の各都市で遺跡など歴史遺産を調査、整備する動きが活発になっている。
 東海地区では大垣市、春日井市、豊川市などが遺跡を積極的に保全し地域振興に役立てている。
 大垣市は松尾芭蕉にまつわる史跡などを生かして街づくりを進めてきた。加えて、遺跡の保全にも積極的に取り組んでいる。大垣市には岐阜県最大の前方後円墳である昼飯大塚古墳があるが、築造当時の姿に保全・復元し、市民が地元の古代史を肌で学べるようにした。市民だけでなく、古代史ファンが遠方から見学に訪れている。また、昼飯大塚古墳をテーマにしたシンポジウムを1月に開催するなど、市内の遺跡を題材にシンポジウムを随時開催しており、地元の歴史を大切にしながら地域づくりを進めている。
 春日井市は古墳時代後期を代表する二子山古墳の周辺を公園として整備し、市民の憩いの場になっている。さらに、同市は昨年までの20年間、東海の古代史をテーマにした「春日井シンポジウム」を開催し、東海地区の古代史研究をリードしてきた。気鋭の考古学者が研究成果を発表し、古代史ファンが遠くは北海道、九州からやって来た。
 豊川市は奈良時代の三河国分尼寺跡を史跡公園として整備し、中門を再建している。さらに、国分寺跡の整備も進めている。律令体制下、三河の国府は豊川に置かれ、古代の三河における中心だったが、これらの史跡公園により市民が郷里に誇りを持つきっかけとなった。
 こうした取り組みがある一方、名古屋市内の遺跡は現代に生かされているとは言えない。名古屋市熱田区の断夫山古墳は愛知県最大の前方後円墳で、全長約150メートルの規模を誇る。熱田神宮とともに、古代尾張氏がシンボルとして築いたとされ、名古屋を象徴する遺跡だ。
 断夫山古墳は愛知県営内公園にあり保存状態はよいが、昼飯大塚古墳のように当時の姿に復元整備をしたらどうか。市民、県民がその偉容を実感し、地域の歴史を肌で学べることができる。名古屋の市街地にあり、波及効果も大きい。このほか、白鳥塚古墳(名古屋市守山区)など貴重な古墳が名古屋市内には少なくない。
 遺跡の保全・整備をすると、「そんなカネがあるなら、直接効果のある経済対策に使うべきだし、維持費もかかる」と必ず批判が上がる。しかし、ボランティア活用をはじめ知恵を絞れば、維持費の削減などができる。地域の財産を荒れるにまかせ放置するのはもったいない。

 

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